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中国経済見通し~成長率は6.5%前後へ減速と予想、リスクは“住宅バブル崩壊” と“トランプシフト”

三尾 幸吉郎
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- 中国経済の成長率は上向いた。1月20日に中国国家統計局が公表した10-12月期の実質成長率は前年同期比6.8%増となり、2年ぶりに前四半期の伸びを上回った。一方、インフレ率は原油高、人民元安、住宅価格上昇などを受けてやや上昇した。2016年の消費者物価は前年比2.0%上昇と2015年の同1.4%上昇を上回った。また、工業生産者出荷価格は同1.4%低下と2015年の同5.2%低下から下落ペースが鈍化、デフレ圧力は緩和してきた。
- 需要面の動きを見ると、個人消費は、中間所得層の増加や雇用情勢の安定などが強力なプラス要因となるものの、所得の伸び鈍化、インフレ率の上昇、小型車減税の縮小、住宅規制の強化などマイナス要因も目立つため、伸びは小幅に鈍化すると予想。投資は、製造業の過剰設備・過剰債務の圧縮、バブル退治に伴う住宅着工の減速、インフラ投資のスピード調整などマイナス要因が目立つものの、企業利益の底打ちや中国製造2025関連領域に対する政策支援などプラス要因もあることから、小幅な鈍化に留まると予想。輸出は、米国の持続的な景気拡大などがプラス要因だが、後発新興国への工場移転は止まらず、前年並みに留まると予想する。
- 一方、中国人民銀行の金融政策は、景気重視から住宅バブル退治に重点が移ったと見られる。景気失速懸念が高まった昨年は、景気対策としてインフラ整備を加速させるとともに、低金利を維持して住宅ローンの増加を事実上黙認したため、住宅バブル問題が深刻化してしまった。当面の金融政策は、将来に大きな禍根を残さぬよう住宅バブル退治に重点を置くと見ている。
- 経済見通しとしては、2017年の実質成長率は前年比6.4%増、2018年も同6.4%増と、6.5%前後の経済成長に留まると予想、消費者物価は緩やかな上昇と予想している。尚、リスクを挙げれば切りが無いが、注意すべきは“住宅バブル崩壊”と“トランプシフト”だと考えている。
(2017年02月24日「Weekly エコノミスト・レター」)
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