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2017年01月24日
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3|直接投資の動向次に直接投資の動きを確認してみよう。中国から海外への対外直接投資は、2013年は730億ドル、2014年は1231億ドル、2015年は1878億ドルと増加傾向が続いており、2016年(1-9月期)も1766億ドルで前年同期比45.2%増となっている。一方、海外から中国への対内直接投資は、2013年の2909億ドルをピークに、2014年は2681億ドル、2015年は2499億ドルと減少傾向が続いており、2016年(1-9月期)は1010億ドルで前年同期比42.5%減となっている。以上のように対外直接投資が増加傾向にある一方、対内直接投資が減少傾向になってきたことから、2016年(1-9月期)の直接投資収支は757億ドル赤字となり、海外への資金流出のひとつの要因となっている(図表-5)。
4|証券投資の動向次に証券投資の動きを確認してみよう。中国から海外への対外証券投資は、2013年は54億ドル増、2014年は108億ドル増、2015年は732億ドル増と増加ペースが加速、2016年(1-9月期)も698億ドル増で前年同期比21.8%増と増加傾向にある。そして、海外への資金流出のひとつの要因となっている。
一方、海外から中国への対内証券投資は、2015年4-6月期までは増加していたが、同年7-9月期には171億ドル減、同年10-12月期は93億ドル減、2016年1-3月期も189億ドル減と3四半期連続で減少した。この3四半期は中国株が急落した時期とちょうど重なる。その後は再び増加に転じて、2016年4-6月期には234億ドル増、同年7-9月期も215億ドル増となっている(図表-6)。そして、この時期の中国株は底打ちして持ち直している。以上のように対内証券投資は基本的には資金流入要因だが、資金流出に転じると株価への影響が大きい。但し、厳しい資本規制が残ることから、内外で移動する資金の規模はまだ小さい。
その他投資の内訳を見ると、対外・対内ともに現預金と貸出/借入が8割前後を占めるため、この両者に焦点を当ててみる。まず、現預金の動きを見ると、中国から海外への現預金については、2013年が74億ドル増、2014年は1856ドル増、2015年は1001億ドル増、2016年(1-9月期)は210億ドル増と、増加額は大きく変動しているが基本的に増加傾向にある。そして、資金流出のひとつの要因となっている。他方、海外から中国への現預金については、2013年が758億ドル増、2014年は814ドル増、2015年は1226億ドル減、2016年(1-9月期)は251億ドル増と、増加・減少の変動が激しい。また内外で移動する資金規模も大きいので為替レートへの影響も大きい(図表-8)。次に、貸出/借入の動きを見ると、中国から海外への貸出は、2013年が319億ドル増、2014年は738ドル増、2015年は475億ドル増、2016年(1-9月期)は812億ドル増と、基本的に増加傾向にあり、資金流出のひとつの要因となっている。他方、海外から中国への貸出(中国の借入)は、2013年が934億ドル増、2014年は343ドル減、2015年は1667億ドル減、2016年(1-9月期)は265億ドル減と、増加・減少の変動が激しい。また内外で移動する資金規模も大きいので為替レートへの影響も大きい(図表-9)。
(2017年01月24日「基礎研レポート」)
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