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- 【中国】拡大する債券市場について-日本の機関投資家にとっても重要性が増す可能性
2017年01月10日
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1――債券残高の急増と内訳シェアの変化

2――機関投資家(具体例としての中国生保)の債券運用
一方、機関投資家の債券運用の具体例として中国生保を参考に見てみよう。中国の大手生保4社の財務諸表を元に、ニッセイ基礎研究所で運用状況を集計した結果が図表-4である。債券が運用全体に占めるシェアは54.0%となっており、主要な投資対象となっている。また、債券運用の内訳を見ると、国債と地方債を合わせた政府債のシェアは24.2%と、市場シェア(50.5%)と比べると半分以下に留まっている。一方、企業債は次級債券を含めて44.2%を占めており、市場シェア(10.7%)の4倍超に達している。従って、中国生保の債券運用は信用度の高い政府債よりも、リスクを伴うものの利回りが高い債券を選好しているようだ。また、債券プラン、理財商品、信託プランなどを通じた債券運用も1割を超えており、債券で高い利回りを獲得しようとする運用姿勢が窺い知れる(図表-5)。
3――日本の機関投資家にとっても重要性が増す可能性
日本の機関投資家にとって中国債券市場は今のところ馴染みの薄い市場だろう。中国は、日本の機関投資家が海外債券に投資する時にベンチマークとなるシティ世界国債インデックス(除く日本)に採用されていないほか、新興国債券に投資する場合にも厳しい資本規制が残るためベンチマーク対象外となることが多い。実際、JPモルガン・ガバメント・ボンド・インデックス・エマージングマーケッツ・グローバル・ディバーシファイドでも中国は除かれる。その結果、中国債券市場における域外機関の存在感はまだ小さい(図表-6)。
(2017年01月10日「保険・年金フォーカス」)
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