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- 日本は何位?「アジア諸国の国際競争力」-世界経済フォーラムの直近ランキングより
a.シンガポール:6年連続で総合第2位。ほとんどの指標(中項目)で上位10位以内にある。その内、高等教育・研修と財市場の効率性が世界首位、その他5項目で世界第2位となっている(公的制度の透明性、インフラなど)。さらに、マクロ経済の安定性や財政の健全性が高評価であるが、スイス等世界で最も強い競争力を有する最上位の諸国との相対比較では、ビジネスの洗練性やイノベーションの面で劣後している。
なお、参考情報として、日本について、WEFの総合ランキングにおける10年間の推移をみると下表のようになっており、2012-2013年の10位から改善傾向を示し、2014-2015年、2015-2016年には6位まで上昇したが、今回(2016-2017年度)は8位となっている。
3.おわりに
経済規模は小さいが世界トップ水準にランクされるシンガポール・香港、中進国としての今後の先進国入りを展望しつつ模索するマレーシア・タイ、経済大国である中国・インド・インドネシア、さらに、アセアンの後発加盟国として将来が期待されるカンボジア・ラオスなど多様な経済状況・発展度の国・地域が存在し、それぞれの立場で諸課題への取り組みや、改善努力が行われている。この点に関して、例えば、シンガポール、香港においては、スイスや米国などとの対比で、ビジネスの洗練性やイノベーションという、より高次元の分野で一層の取り組みが必要とされるなど、各水準や段階の国々にとって、競合する諸国との相対的な優位性という観点が重要となっている。わが国は、市場規模、インフラ、イノベーション等これまでの蓄積や取り組みが考慮され第8位という高評価となっているが、イノベーションにおける相対的な優位性の低下傾向が指摘されている。このような状況を考えると、マクロ経済の改善、諸改革の推進の必要性と同時にイノベーション分野の一層の強化の重要性が改めて認識されるといえる。本ランキングは、各国・地域の競争力に関する、一つの見方との位置ではあるが、その中には、各国・地域が、注力すべき分野の状況や競合との相対的なポジションの把握・分析に有用な情報を数多く含んでいるといえよう。
【参考】WEFとIMDの国際競争力ランキングの比較
<主要参考文献>
小針泰介(2013)「国際競争力ランキングから見た我が国と主要国の強みと弱み」 国立国会図書館調査及び立法考査局『レファレンス』平成25年1月号。
竹村敏彦(2014)「日本の国際競争力強化に向けた戦略と課題」 総務省情報通信政策研究所『情報通信政策レビュー』第 8 号。
World Economic Forum (WEF) (2016), The Global Competitiveness Report 2016-2017 および各年版。
International Institute for Management Development (IMD) (2016), World Competitiveness Yearbook 2016.
平賀 富一
研究・専門分野
(2016年12月05日「研究員の眼」)
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