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日本企業の信用リスクは磐石か-CDSスプレッドの縮小トレンドに潜む不安材料

金融研究部 金融調査室長・年金総合リサーチセンター兼任 福本 勇樹
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- 新しく「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」政策が導入されたことにより、社債等の信用リスクを内包する金融商品が注目される可能性がある。この問題意識から、本稿では安倍政権誕生後の日本企業の信用リスクの推移について分析を行った。
- CDSスプレッドは長らく縮小傾向にあり、直近はここ数年間で最も縮小した状態にあるため、全般的に日本企業の信用リスクが改善してきたことを示唆している。
- 社債スプレッドを見ても全般的に日本企業の信用リスクが改善してきたことを示唆しているものの、CDSスプレッドほどの変化は示しておらず、2016年に入ってからは逆に拡大傾向にある。しかし、この点についてはマイナス金利政策の影響も考えられるため、信用リスクの悪化の兆候として捉えるには議論の余地がある。
- 財務分析から見ても、全般的に信用リスクが改善してきたことが分かるが、2016年期末のデータを見ると信用リスクの悪化の兆候が見られる企業も存在しており、CDS市場においてこの悪化の兆候が織り込まれていない可能性がある。
- 2016年に入ってから生じているCDSスプレッドと他の信用リスク指標との動きの乖離は、需給や政策といった複雑な要因も絡んでいる側面もあるため、信用リスクについては多面的な分析が必要になるものと思われる。
■目次
1――「イールドカーブ・コントロール」がもたらす信用リスク分析の重要性
2――CDSスプレッドから見た日本企業の信用リスクの状況
3――社債スプレッドから見た信用リスクの状況
4――財務分析から見た信用リスクの状況
5――まとめ
(2016年09月29日「基礎研レポート」)

03-3512-1848
- 【職歴】
2005年4月 住友信託銀行株式会社(現 三井住友信託銀行株式会社)入社
2014年9月 株式会社ニッセイ基礎研究所 入社
2021年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・経済産業省「キャッシュレスの普及加速に向けた基盤強化事業」における検討会委員(2022年)
・経済産業省 割賦販売小委員会委員(産業構造審議会臨時委員)(2023年)
【著書】
成城大学経済研究所 研究報告No.88
『日本のキャッシュレス化の進展状況と金融リテラシーの影響』
著者:ニッセイ基礎研究所 福本勇樹
出版社:成城大学経済研究所
発行年月:2020年02月
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