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低金利や相続税対策などによる活況の一方、不動産賃貸市場の一部に頭打ち感~不動産クォータリー・レビュー2016年第2四半期~

竹内 一雅
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2016年4-6月期の小売販売額(既存店)は、スーパーで微減、コンビニで増加した一方、百貨店では▲4.0%の減少だった(図表-25)。最近の百貨店販売の活況を支えてきた外国人の「爆買い」が、円高・元安や中国の個人持込み荷物等の関税の見直し7、購買品目の消耗品等への変化による購買単価の下落などから、免税品売上高が前年比▲15%の大幅減(6月は同▲20%)となった(図表-26)。百貨店では、売上高の95%以上を占める国内客も、株価低迷、熊本地震などによる消費マインド低下から購買の不調が続いており、急回復は「厳しい状況にある」8という。
東京の中心商業地における2016年第1四半期の店舗1階の募集賃料は、銀座などで大幅上昇前の水準に戻る一方、平均募集賃料はほぼ横ばいの推移を続けている(図表-27)。
宿泊旅行統計によると、2016年4-6月の延べ宿泊者数は1億1,660万人で、前年比▲164万人(▲1.4%)の減少となった(図表-30)。円高による日本人の海外旅行の増加(前年比+4.3%、+15.5万人)などもあり、日本人宿泊者数が前年比で▲312万人(同▲3.1%)の大幅減になったことが、延べ宿泊者数の減少をもたらした。外国人の延べ宿泊客者数の伸びも前年比+8.6%と、昨年(2015年4-6月同+47.2%)に比べると増加率・増加数が大きく縮小しており、外国人の訪日旅行者数の増加率(同+19.0%)と比べても大きく下回る結果となった 910。
7 JETRO「越境ECのBtoC取引の税が一般貿易並みに-4月8日から取引限度額を拡大し免税措置を撤廃-」2016.4.1、JETRO「一般貿易に比べ低い税負担を新税制で是正-中国越境ECの税制改正(1)」2016.4.19などを参照のこと。
8 全国百貨店協会「平成28年6月全国百貨店売上高概況」2016.7.20より。
9 訪日外国人旅行者数の増加率を、外国人の延べ宿泊者数増加率が大きく下回っているのは、クルーズ船の来航の増加(日本経済新聞「訪日客伸び再び勢い」2016.7.21参照のこと)に加え、外国人の民泊への宿泊者数の増加も影響しているのではないかと思われる。
10 なお、宿泊施設不足への対応として、国土交通省は6月13日に地方自治体に対して、宿泊施設の容積率を現在の1.5倍、+300%を上限に緩和するよう促す通知を出している。国土交通省「宿泊施設の整備に着目した容積率緩和制度の創設に係る通知を発出」参照のこと。
11 3PL(サードパーティー・ロジスティクス)とは、荷主に物流改革を提案し、物流業務を包括受託する業務をいう。日本通運「3PL(サードパーティー・ロジスティクス)とは?」等を参照のこと。
(2016年08月02日「不動産投資レポート」)
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竹内 一雅
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