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景況見通しが一変、悲観が楽観を上回る~不動産価格のピークは15~18年と見方分かれる~第12回不動産市況アンケート結果

増宮 守
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アンケートの概要
1 不動産・建設、金融・保険、不動産仲介、不動産管理、不動産ファンド運用、格付、投資顧問・コンサルタント、不動産調査・出版などに携わる専門家。
アンケートの結果
「良くなる」または「やや良くなる」が過半数を占めた昨年までに対し、今回、「変わらない」が過半数を占めた。さらに、「良くなる」または「やや良くなる」は21.5%に止まり、「やや悪くなる」または「悪くなる」の24.1%が上回った。過去を振り返ると、景気の底だった2009年にも、6ヵ月後の景況見通しは既に改善していたことから、今回のように悲観が楽観を上回ったのは2008年度以来初めてとなる(図表-3)。
このように、極めて良好な現在の景況感に変化が表れなかった一方、6ヶ月後の景況見通しは、楽観優位から楽観と悲観が交錯するものに一変した。
「今後、価格上昇や市場拡大が期待できる投資セクター(証券化商品含む)(3つまで選択)」について聞いたところ、「ホテル」が82.9%、「物流施設」が43.2%、「ヘルスケア不動産(高齢者向け住宅、健康医療関連施設)」が40.5%などとなった(図表-4)。
昨年度(図表-5)に続き「ホテル」を選んだ回答が最多となったが、さらに今回、ほとんどの回答者が「ホテル」を選ぶに至った。期待を上回るペース2の訪日来客数の増加に伴い、ホテル客室稼働率が過去最高水準で推移している。これまで、「ホテル」は一部の専門プレーヤーが扱うセクターであったが、最近では、多くの企業でホテル投資担当部署の設置、強化が進んでいる。また、「ホテル」に加え、昨年度大きく増加した「リゾート施設」(13.5%)も、さらに2倍近くに増加した。
その他、昨年度やや関心が薄れていた「物流施設」が、再び大幅に増加した。2015年末から再び大量供給局面を迎えており、当面の需給懸念はあるものの、ストック拡大により流動性が向上し、投資対象として魅力を増す可能性がある。
一方、これまで主な投資対象セクターとして常に上位を占めてきた「オフィスビル」(26.3%)が、大幅に回答数を減らした。空室率低下と賃料上昇の継続にもかかわらず、力強いオフィス需要拡大がみられておらず3、また、不動産価格サイクル4が最も表れ易いセクターであるため、サイクルのピークアウトを視野に、より成長性の見込める他のセクターに見劣りしたとも考えられる。
その他、「分譲マンション」(3.6%)の減少も目立ったが、人口動態や空き家の増加などに加え、最近の価格高騰や杭打ちデータ偽装などによるマンション販売の伸び悩みも影響したとみられる。
2 2015年初の政府目標値は2020年までに年間2,000万人であったが、既に2015年に1,974万人(前年比+47.1%)を記録。
3 増宮守 「不動産市場は全般に堅調も、オフィス需要など一部に弱い動き~不動産クォータリー・レビュー2015年第3四半期~」 ニッセイ基礎研究所、不動産投資レポート、2015年11月5日
4 増宮守 「不動産価格サイクルの先行的指標~ピーク感が強まる中、各指標の現状を確認~」 ニッセイ基礎研究所、基礎研レポート、2015年8月28日
(2016年01月25日「不動産投資レポート」)
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