- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 家計の貯蓄・消費・資産 >
- 住と学に費やし老細る-老後を見据えた貯蓄への歩み。固定費の見直しを。
4――結論と課題
最後に住宅費や教育費が高いことが、老後の生活に本当に問題なのか、という疑問が残ります。住宅に関しては、住宅ローンの支払いは、食費や旅行代のように消費すればなくなってしまうものではありません。住宅ローンを完済すれば、その後の住宅の利用方法は自由です。例えば、子供が独立して大きな家が必要なくなったら、売却して小さい家に住み替えることができます。売却益を老後の生活資金にあてることができます。持家を担保にお金を借りて生活資金にすることもできます。あるいは、子供の教育費に投資することにより、子供が将来高い収入を得ることができれば、親の老後の面倒をみてくれる可能性もあります。このように、必ずしも収入に比べて高い住宅を購入したことや、教育費をかけることが、老後の生活が苦しくなることに直結していないようにも思われます。
しかし、住宅を売却する際に望みどおりの価格で売れるとは限りません。少子高齢化が進み、大きな住宅への需要が低まれば、売却価格が値下がりすることが予想されます。また、長年住んだ愛着のある家をそう簡単に売却できないかもしれません。あるいは、背伸びして住宅を購入した人は、小さい家を買う際にも、再び背伸びするかもしれません。さらに、将来、子供が面倒をみてくれるかは不確実です。子供が親の介護をする理由の一つに、遺産への関心があるからとする研究もあります。そうすると、住宅費や教育費といった固定費が多いことは、老後の生活を苦しくすることにつながります。
ただし、これまでの分析は、データの制約もあり、十分ではない可能性もあります。詳細な分析は今後の課題としたいと思います。
このレポートの関連カテゴリ
北村 智紀
研究・専門分野
(2016年01月20日「基礎研レポート」)
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月30日
今週のレポート・コラムまとめ【4/23-4/26発行分】 -
2024年04月26日
ドイツの産業空洞化リスク-グローバル化逆回転はドイツへの逆風、日本への追い風か?- -
2024年04月26日
米GDP(24年1-3月期)-前期比年率+1.6%と前期から低下、市場予想の+2.5%も大幅に下回る -
2024年04月26日
滞留するふるさと納税 -
2024年04月26日
EUのDMA関連調査開始決定-GAFAそれぞれの問題を指摘
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【住と学に費やし老細る-老後を見据えた貯蓄への歩み。固定費の見直しを。】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
住と学に費やし老細る-老後を見据えた貯蓄への歩み。固定費の見直しを。のレポート Topへ