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- 消費者物価(全国15年10月)~コアCPI上昇率は3ヵ月連続マイナスも、プラス転化は近い
2015年11月27日
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1.コアCPI上昇率は3ヵ月連続のマイナス

原材料価格上昇の影響などから値上げが続いている食料(生鮮食品を除く)が前年比2.2%(9月:同1.9%)と上昇ペースがさらに加速した。
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲1.16%(9月:▲1.18%)、食料(生鮮食品を除く)が0.49%(9月:0.41%)、その他が0.57%(9月:0.68%)であった。
2.物価上昇品目数の割合は引き続き6割を上回る

食料(生鮮食品を除く)は7割以上の品目が上昇し、特に値上がりが目立っているが、トイレットペーパー、ポリ袋などの日用品、宿泊料、テーマパーク入場料、月謝類などのサービスでも幅広い品目で値上げが行われている。コアCPI上昇率は前年比でマイナスとなっているが、品目数でみれば上昇品目数が下落品目数を大きく上回っており、物価上昇の裾野は広がっている。
3.全国のコアCPIは15年末までには再びプラスへ

食料(生鮮食品を除く)は前年比1.7%(10月:同1.9%)と伸びが鈍化したが、電子レンジ、電気冷蔵庫などの家庭用耐久財(10月:前年比5.5%→11月:同8.6%)、テレビなどの教養娯楽用耐久財(10月:前年比12.6%→11月:同15.6%)、宿泊料などの教養娯楽サービス(10月:前年比0.7%→11月:同2.0%)の上昇率が高まったことがコアCPIを押し上げた。
東京都区部のコアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が▲0.84%(10月:▲0.89%)、食料(生鮮食品を除く)が0.37%(10月:0.39%)、その他が0.47%(10月:0.30%)であった。

また、かつてに比べて企業の値上げに対する抵抗感は小さくなっており、コアCPI上昇率がマイナスとなる中でも円安に伴う原材料価格の上昇に対応した価格転嫁の動きは継続している。10月(全国)の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合(いわゆるコアコアCPI)は前年比0.7%と9月の同0.9%(消費税の影響を除く)から上昇率が鈍化したが、東京都区部の11月のコアコアCPIは前年比0.6%と10月の同0.4%から上昇率が高まっており、エネルギー以外の物価上昇圧力は依然として強い。
現時点では、原油価格(ドバイ)が徐々に持ち直すことを前提として、コアCPI上昇率は15年末までには再びプラスに転じると予想している。
(2015年11月27日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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