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- 貿易統計15年4月~貿易収支は再び赤字、黒字定着の可能性は低い
■見出し
・貿易収支は再び赤字に
・アジア向け輸出が弱含み
・貿易黒字の定着には至らず
■要旨
財務省が5月25日に公表した貿易統計によると、15年4月の貿易収支は▲534億円と2ヵ月ぶりの赤字となったが、赤字幅は市場予想(QUICK集計:▲3,250億円、当社予想は▲2,743億円)を下回った。輸出が前年比8.0%(3月:同8.5%)の増加となる一方、輸入が前年比▲4.2%(3月:同▲14.5%)と4ヵ月連続の減少となったため、貿易収支は前年に比べ7,721億円の改善となった。
季節調整済の貿易収支は▲2,087億円の赤字となった。貿易収支は3月には東日本大震災以降で初の黒字(50億円)となったが、輸出が前月比▲1.5%(3月:同3.8%)と2ヵ月ぶりに減少する一方、輸入が前月比1.8%(3月:同▲5.0%)と5ヵ月ぶりに増加したため、再び赤字となった。
4月の輸出数量指数(当研究所による季節調整値)を地域別に見ると、米国向けが前月比1.3%(3月:同4.5%)、EU向けが前月比▲2.0%(3月:同4.0%)、アジア向けが前月比▲0.3%(3月:同4.0%)、全体では前月比▲1.2%(3月:同2.8%)となった。
米国経済は15年1-3月期にはほぼゼロ成長となったが、基調としては底堅さを維持しており、日本からの輸出も自動車の持ち直しなどから回復を続けている。一方、アジア向け輸出は中国、その他新興国の景気減速に伴い弱含みの動きとなっており、輸出全体の持ち直しは緩慢にとどまっている。
4月の通関(入着)ベースの原油価格は1バレル=56.2ドル(当研究所による試算値)となり、3月の54.8ドルから上昇した。ドバイ原油は、1月の40ドル台半ばから足もとでは60ドル台まで上昇している。このため、通関ベースの原油価格は5月以降も上昇する可能性が高い。一方、調達価格が原油価格連動型の長期契約となっている液化天然ガス(LNG)の輸入価格は、既往の原油価格下落の影響が反映されることによりしばらく低下するが、夏場以降は上昇に向かうだろう。
輸出数量はここにきて持ち直しているが、海外経済の回復が緩やかにとどまっていることから伸びを大きく高めることは期待しにくい。一方、輸入数量は個人消費を中心とした国内需要の回復を受けて増加ペースが高まることが見込まれる。貿易収支(季節調整値)は当面、ゼロ近傍で一進一退の動きが続いた後、夏場以降は再び赤字基調になると予想する。
(2015年05月25日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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