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年金が機能を発揮するには~日本の企業年金は、ほとんど年金でないかもしれない~
金融研究部 取締役 研究理事 兼 年金総合リサーチセンター長 兼 ESG推進室長 德島 勝幸
■要旨
退職一時金の分割給付という形で制度がスタートした日本の企業年金は、現在でも、大企業中心にしか普及していない。従業員ベースでの企業年金カバー率は、4割前後しかないと考えられている。一方、退職一時金については、企業規模を問わず、ほぼ3分の2の企業が制度を有している。ところが、企業年金の受給実態を見ると、せっかくの年金を一時金として受取っている例が多い。ローンの返済やバカンス等といった実際の資金ニーズがある他、早期の受取りを選好するといった行動ファイナンスに説明を求めることも出来るだろう。しかし、一時金を選択する最大の要因は、年金と一時金との税制の差にある可能性がある。一時金として受取った場合には、退職所得として扱われるために、ほとんど課税されないのである。公的年金への期待が低下する中、企業年金を年金として受取ることを促すような税制の見直しが必要ではないだろうか。
03-3512-1845
- 【職歴】
・1986年 日本生命保険相互会社入社
・1991年 ペンシルバニア大学ウォートンスクールMBA
・2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社に出向
・2008年 ニッセイ基礎研究所へ
・2021年より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・日本ファイナンス学会
・証券経済学会
・日本金融学会
・日本経営財務研究学会
(2015年02月17日「保険・年金フォーカス」)
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