2014年11月13日

企業物価指数(2014年10月)~原油安で消費増税の影響を除くとほぼ0%

岡 圭佑

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■見出し

・原油安で消費税の影響を除くとほぼ0%
・輸入物価は緩やかな上昇が続く
・最終財価格は緩やかな上昇が続く

■要旨

11月13日に日本銀行から発表された企業物価指数によると、2014年10月の国内企業物価指数は前年比2.9%となった。事前の市場予想(QUICK集計:前年比3.3%)を下回り、上昇幅は9月の同3.6%から0.7%縮小し、前月比では9月の0.0%から10月には▲0.8%となった(夏季電力料金調整後:前月比▲0.6%)。消費税分を除いた10月の企業物価は、前年比0.1%と9月の同0.7%から上昇幅が0.6%縮小した。
今後、円安を主因とした輸入物価上昇によるコスト増を価格転嫁する動きが高まるものの、消費増税後の景気減速に伴う需給バランス悪化の影響から、消費税分を除いた企業物価(前年比)はゼロ近傍で推移することが見込まれる。

10月の輸入物価(円ベース)は前年比4.3%(9月:同4.5%)と上昇幅が縮小し、前月比では▲1.1%(9月:同2.2%)と3ヵ月ぶりにマイナスとなった。
世界経済の減速懸念の高まりを背景に、原油などの資源価格は下落を続けているが、日銀の金融政策をきっかけとした円安が物価上昇に寄与することから、輸入物価(前年比)はプラスの伸びが続くことが見込まれる。

10月の需要段階別指数(消費税除く、国内品+輸入品)をみると、国内需要財価格は前年比1.1%(9月:同1.7%)と上昇幅が縮小した。需要段階別指数を項目別にみると、素原材料が前年比1.0%(9月:同1.8%)、中間材が前年比1.5%(9月:同2.3%)、最終財が前年比0.7%(9月:同0.7%)となった。原油価格の下落を背景に、素原材料の上昇幅が前年比で縮小したことが、国内需要財価格(前年比)の下落に寄与した。今後、円安が素原材料価格を押し上げ、中間財価格や最終財価格の物価上昇に波及するとみられる。
最終財を寄与度別にみると、資本財が前年比0.3%(9月:同0.2%)、耐久消費財が前年比0.0%(9月:同▲0.1%)、非耐久消費財が前年比0.4%(9月:同0.4%)となっている。設備投資の回復に加え、駆け込み需要の反動が和らぐことから、最終財価格は緩やかな上昇が続くことが見込まれる。

(2014年11月13日「経済・金融フラッシュ」)

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