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- 企業物価指数(2014年9月)~原油高一服で伸び率が鈍化
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■見出し
・原油高一服で伸び率が鈍化
・輸入物価は緩やかな上昇が続く
・最終財価格は緩やかな上昇が続く
■要旨
10月14日に日本銀行から発表された企業物価指数によると、2014年9月の国内企業物価指数は前年比3.5%となった。事前の市場予想(QUICK集計:前年比3.6%)を下回り、上昇幅は8 月の同3.9%から0.4%縮小し、前月比では2ヵ月連続のマイナスとなった(8月:▲0.1%、9月:▲0.2%)。消費税分を除いた9月の企業物価は、前年比0.7%と8月の同1.1%から上昇幅が0.4%縮小した。今後、円安を主因とした輸入物価上昇によるコスト増を価格転嫁する動きが高まるものの、消費増税後の景気減速に伴う需給バランス悪化の影響から、消費税分を除いた企業物価は前年比1%を割り込む水準で推移することが見込まれる。
9月の輸入物価(円ベース)は前年比4.4%(8月:同4.5%)と上昇幅が縮小する一方、前月比では2.1%(8月:同0.6%)と上昇幅が拡大した。油需給の緩和に伴い原油価格は下落を続けているが、それ以上に日米金利差の拡大を主因とした円安が物価上昇に寄与することから、輸入物価(前年比)はプラスの伸びが続くことが見込まれる。
需要段階別指数(消費税除く、国内品+輸入品)をみると、国内需要財価格は前年比1.7%(8月:同1.9%)と上昇幅が縮小した。9月の需要段階別指数を項目別にみると、素原材料が前年比1.7%(8月:同3.0%)、中間材が前年比2.3%(8月:同2.7%)、最終財が前年比0.6%(8月:同0.4%)となった。原油高の一服を背景に、素原材料、中間財で上昇幅が縮小したことが、国内需要財価格(前年比)の下落に寄与した。今後、日米金利差の拡大を主因とした円安効果が素原材料価格を押し上げ、中間財価格や最終財価格の物価上昇に波及するとみられる。
最終財を寄与度別にみると、資本財が前年比0.2%(8月:同0.2%)、耐久消費財が前年比▲0.1%(8月:同▲0.1%)、非耐久消費財が前年比0.4%(8月:同0.3%)となっている。設備投資の回復に加え、駆け込み需要の反動が和らぐことから、最終財価格は緩やかな上昇が続くことが見込まれる。
(2014年10月14日「経済・金融フラッシュ」)
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