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- 毎月勤労統計13年6月 ~特別給与の増加が賃金を押し上げる
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■見出し
・現金給与総額は5ヶ月ぶりに前年比で増加
・常用雇用者数は緩やかな増加基調が続く
■introduction
7月31日に厚生労働省から発表された2013年6月の毎月勤労統計によると、6月の現金給与総額は前年比0.1%(5月:前年比▲0.1%)となり、5ヶ月ぶりに前年比で増加した。
その内訳を見てみると、所定内給与は前年比▲0.2%と13ヶ月連続で減少し、所定外給与は前年比0.0%と横ばいに推移したため、きまって支給する給与(所定内給与+所定外給与)は前年比▲0.2%と13ヶ月連続で減少した。一方で、特別給与は、安倍政権による賃上げ要請に伴い多くの企業が夏のボーナスを前年比で増額したため、前年比0.4%と3ヶ月連続で増加している。6月は多くの企業でボーナスの支給月にあたるため、現金給与総額に占める特別給与の割合が高い。このため特別給与の前年比での増加率は小さかったものの、賃金全体の押し上げ幅は大きくなった。ただし、夏のボーナスは、6月に支給される企業と7月に支給される企業に分かれており、年によって支給月にズレが生じることも少なくない。夏のボーナスの全体像を把握するためには、9/3公表予定の7月分の特別給与と合せて見ることが必要だろう。
アベノミクスへの期待に伴う景況感の大幅な改善や鉱工業生産指数の回復を背景に、現金給与総額が減少基調から脱しつつあるものの、所定内給与は前年比で13ヶ月連続減少しており、本格的な賃金の回復は見えてこない。
6月の常用雇用者数は前年比0.7%(5月:前年比0.7%)となり、緩やかな増加基調が続いている。その内訳を見てみると、一般労働者は前年比0.2%と減少基調から脱しつつある中、パートタイム労働者は前年比2.1%と増加基調が続くなど、雇用環境に回復の兆しがみられる。
ここ最近まで明確に見られた給与水準の高い一般労働者(正規雇用)を減らし、その分を給与水準の低いパートタイム労働者(非正規雇用)で賄おうとする動きが緩和しているようにみえる。ただし、毎月勤労統計は速報から確報になる際に、一般労働者は下方修正(5月:前年比0.0%→前年比▲0.2%)、パートタイム労働者は上方修正(5月:前年比2.2%→前年比3.2%)される傾向があるため、基調が変わったと判断するのは早計だろう。
今後は安倍政権による緊急経済対策の効果や住宅投資への消費増税前の駆け込み需要から、建設業の雇用の更なる増加が見込まれるほか、鉱工業生産が持ち直しに向かうことで、製造業の雇用も少しずつ持ち直しに向かうとみられる。
(2013年07月31日「経済・金融フラッシュ」)
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押久保 直也 (おしくぼ なおや)
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