2012年09月28日

雇用関連統計12年8月~雇用情勢の改善に陰り

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・失業率は前月から0.1ポイント低下の4.2%
・労働需給の改善ペースは鈍化

■introduction

総務省が9月28日に公表した労働力調査によると、12年8月の完全失業率は前月から0.1ポイント低下し4.2%となった(QUICK集計・事前予想:4.3%、当社予想も4.3%)。
就業者数が前月から6万人減少したが、労働力人口が15万人減とそれを上回る減少となったため、失業者数は前月から10万人の減少となった。失業率は4月の4.6%から4.2%まで低下したが、非労働力化の進展が失業率の低下に寄与する形となっており、内容は良くない。
雇用者数の内訳を産業別に見ると、生産活動の低迷を反映し、製造業が前年比▲26万人減(7月:同▲11万人減)と12ヵ月連続の減少となり、前月から減少幅が大きく拡大したほか、復興関連事業の本格化に伴う公共工事急増の影響から増加を続けてきた建設業が前年から横ばい(7月:同1万人増)にとどまった。一方、卸売・小売(29万人増)、サービス(19万人増)、医療・福祉(28万人増)といった内需関連産業は比較的堅調であった。

厚生労働省が9月28日に公表した一般職業紹介状況によると、12年8月の有効求人倍率は前月から横ばいの0.83倍となった(QUICK集計・事前予想:0.83倍、当社予想も0.83倍)。有効求人数(前月比▲1.1%)、有効求職者数(同▲0.9%)ともに2ヵ月連続で減少した。有効求人倍率は11年6月から改善を続けてきたが、15ヵ月ぶりに改善が止まった。
有効求倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から0.02ポイント上昇し、1.33倍となった。新規求人数が前月比▲0.1%の減少となったが、新規求職申込件数が同▲1.5%とそれを上回る減少となったことが求人倍率の改善に寄与した。
新規求人倍率は引き続き高水準にあり、有効求人倍率も改善基調は崩れていないが、新規求人数、有効求人数がともに前月比で減少するなど、ここにきて改善テンポは鈍化している。
特に、製造業は生産活動の悪化を受けて雇用が減少していることに加え、新規求人数も建設業、卸売・小売業、情報通信業などが前年比で二桁の伸びを続ける中、3ヵ月連続で前年比マイナスとなっている。鉱工業生産は先行きも低迷することが見込まれるため、製造業の雇用者数は当面減少が続く可能性が高い。現時点では、雇用の悪化はほぼ製造業に限られているが、景気低迷が長期化すればその他の産業に波及するリスクが高まるだろう。

(2012年09月28日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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