- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経営・ビジネス >
- 企業経営・産業政策 >
- 漁業の復興:担い手
コラム
2011年10月06日
まだ本格的な復興予算を組んだ第3次補正が国会を通っていないが、支援の手などが被災地に入ってきている。物資とともに、お金も被災地で交付金や各種保険金などから預金が増えている。
復旧の段階では物資、お金を被災者のところに届けることは必要不可欠だ。しかし、現金を個人にただ配っても復興支援にはならない。雇用を生み出し若い世代がそこで働くという道筋がなければ「復興」ではない。
漁業問題ももめている。被災地域は日本有数の漁業地域。それと同時に高齢化率が日本の平均(23.1%)を上回り軒並み30%台と超高齢化地域でもある。魚の消費が減少する中、燃料価格の高騰などで経営的には多くの漁業が苦しい状況にあった。後継者問題も抱えこのままでいくと漁業が成り立たないという危機まで発生していた。
今回の被災を受けて宮城県と岩手県はまったく違った対応を決めている。宮城県は水産業拠点の集約(1/3程度)と再編を掲げる。岩手県は原則として全ての漁港を復旧する考えだ。
また宮城は、漁業法に定められている漁業権免許の優先順位を改めて、民間にも開放するとした構想も打ち上げている( 5月10日、村井宮城県知事が大震災復興会議で提案)。
議論は民間開放かどうかで真っ二つに分かれているイメージを受ける。民間開放を望む論者からすれば、このままの高齢化ではいずれ漁師はいなくなると主張する。民間開放に反対する論者からすれば、民間が入ると豊かな漁場があらされ、魚が壊滅してしまうという。
どちらの話も説得力がある。しかし、最終的に漁業という生業を残し、そこに後世の若い担い手ができなければ復興ではない。個人的には民間参入などいろいろなことを試す中でなんとか、この豊かな海・魚を残し漁業という生業を残してほしい。
やり方が県で違ってもいいと思う。喧々諤々もっと現在の漁業関係者、民間、そして何より若い世代の意見を取り入れ、もっともっといろいろな取り組みを起こして欲しい。
また漁業に関するリスクヘッジを行なうための漁業の共済の仕組みなどかなり変化がなければならない。大型魚、養殖でしか経営が成り立たないのでは多くの漁港は残れない。また台風などである地域が、漁業ができない時に、他の地域とどうリスクヘッジを行なえるか、そんな制度もより拡充されなければならない。
先日仙台で秋刀魚を食べた。やっと宮城で陸揚げされたものだという。おいしかった。日本で取れたおいしい魚を食べ続けたい。
復旧の段階では物資、お金を被災者のところに届けることは必要不可欠だ。しかし、現金を個人にただ配っても復興支援にはならない。雇用を生み出し若い世代がそこで働くという道筋がなければ「復興」ではない。
漁業問題ももめている。被災地域は日本有数の漁業地域。それと同時に高齢化率が日本の平均(23.1%)を上回り軒並み30%台と超高齢化地域でもある。魚の消費が減少する中、燃料価格の高騰などで経営的には多くの漁業が苦しい状況にあった。後継者問題も抱えこのままでいくと漁業が成り立たないという危機まで発生していた。
今回の被災を受けて宮城県と岩手県はまったく違った対応を決めている。宮城県は水産業拠点の集約(1/3程度)と再編を掲げる。岩手県は原則として全ての漁港を復旧する考えだ。
また宮城は、漁業法に定められている漁業権免許の優先順位を改めて、民間にも開放するとした構想も打ち上げている( 5月10日、村井宮城県知事が大震災復興会議で提案)。
議論は民間開放かどうかで真っ二つに分かれているイメージを受ける。民間開放を望む論者からすれば、このままの高齢化ではいずれ漁師はいなくなると主張する。民間開放に反対する論者からすれば、民間が入ると豊かな漁場があらされ、魚が壊滅してしまうという。
どちらの話も説得力がある。しかし、最終的に漁業という生業を残し、そこに後世の若い担い手ができなければ復興ではない。個人的には民間参入などいろいろなことを試す中でなんとか、この豊かな海・魚を残し漁業という生業を残してほしい。
やり方が県で違ってもいいと思う。喧々諤々もっと現在の漁業関係者、民間、そして何より若い世代の意見を取り入れ、もっともっといろいろな取り組みを起こして欲しい。
また漁業に関するリスクヘッジを行なうための漁業の共済の仕組みなどかなり変化がなければならない。大型魚、養殖でしか経営が成り立たないのでは多くの漁港は残れない。また台風などである地域が、漁業ができない時に、他の地域とどうリスクヘッジを行なえるか、そんな制度もより拡充されなければならない。
先日仙台で秋刀魚を食べた。やっと宮城で陸揚げされたものだという。おいしかった。日本で取れたおいしい魚を食べ続けたい。
(2011年10月06日「研究員の眼」)

03-3512-1837
経歴
- ・ 1992年 :日本生命保険相互会社
・ 1995年 :ニッセイ基礎研究所へ
・ 2021年から現職
・ 早稲田大学・政治経済学部(2004年度~2006年度・2008年度)、上智大学・経済学部(2006年度~2014年度)非常勤講師を兼務
・ 2015年 参議院予算委員会調査室 客員調査員
矢嶋 康次のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/02/12 | 供給制約をどう乗り切るか-設備投資の増勢を維持するために | 矢嶋 康次 | 研究員の眼 |
2025/02/07 | 日米貿易交渉の課題-第一次トランプ政権時代の教訓 | 矢嶋 康次 | 基礎研マンスリー |
2024/12/03 | 日米貿易交渉の課題-第一次トランプ政権時代の教訓 | 矢嶋 康次 | 研究員の眼 |
2024/10/21 | 日本はどんなリスクを取るべきか~デジタル・リアルの勝ち筋 | 矢嶋 康次 | 基礎研レポート |
新着記事
-
2025年03月19日
貿易統計25年2月-関税引き上げ前の駆け込みもあり、貿易収支(季節調整値)が黒字に -
2025年03月19日
米住宅着工・許可件数(25年2月)-着工件数(前月比)は悪天候から回復し、前月から大幅増加、市場予想も上回る -
2025年03月18日
長期投資の対象、何が良いのか-S&P500、ナスダック100、先進国株式型で良かった -
2025年03月18日
中国で求められる、働きやすく、子育てしやすい社会の整備【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(68) -
2025年03月18日
グリーン車から考える日本の格差-より多くの人が快適さを享受できる社会へ-
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【漁業の復興:担い手】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
漁業の復興:担い手のレポート Topへ