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- 定年後にどうなる?~男性のワークライフバランス
コラム
2007年10月05日
仕事と家庭の「両立」という言葉は、「両方立つ」と書くせいか、両方完璧にする、といった印象をともなう。むしろ、仕事と家庭の両方に関わる場合には、それらの狭間で悩みながら何とかバランスをとるというほうが実態に合うからであろうか、最近は「ワークライフバランス」という言葉がよく使われるようになってきた。
ワークライフバランスには、大小さまざまな「選択」が同居する。働く、結婚する、子どもを持つ、資格取得等に挑戦するなど、生き方の選択が大きな「選択」だとすると、ワークに力を入れるがゆえに出てくる家族の負担や、ライフを重視するがゆえに出てくる仕事上の制約に悩み、「なぜ働くのか」と自問自答しながら行う日々の「選択」もあるだろう。
従来「ワークライフバランス」の主語は女性であることが多かったが、最近では男性のワークライフバランスも注目されつつある。ただ、たとえば日本の6歳未満の子を持つ男性の育児時間は1日平均25分(総務省「社会生活基本調査」)であることにも象徴されるように、多くの男性がワークに専念、あるいはワークに極度に傾斜したバランスになっているのが現実である。
さて、今年から定年退職を迎え始める団塊の世代を含め、現在定年前後にあたる男性は、「仕事人間、会社人間」と揶揄されてきた世代である。家庭における男女の役割分業が定着した世代であり、多くの男性にとっては「働かなければならないので働く」という状況が当たり前だったと推察される。彼らは定年後、どのようなバランスを「選択」するのだろうか。
ニッセイ基礎研究所が1997年から2005年にかけて中高年男性を追跡してきた「中高年パネル調査」によると、「働かなければならないので働く」という状況にある男性は、定年前には7割強だったが、定年後は5割強へと低下している。逆に、「働きたい(生活目的以外)ので働く」という男性は定年後には4人に1人にのぼり、「働かない(自己選択)」割合も定年後に増加する。定年後の男性にとって、「働かなければならないので働く」以外の選択肢を得ることは、「働く意味」を問い直す必要性が出てくることと表裏の関係にある。定年というダイナミックな変化をガッチリと受け止め、「働く意味」を「哲学」しながら、しなやかにワークとライフのバランスをとっている男性は決して少なくない。
このように、定年前後の男性が、ワークとライフの狭間で悩みながら自分らしいバランスを模索し、「選択」する過程を、書籍『定年前・定年後』として朝日新聞社より本日刊行した。定年前後の生活にご関心のある方々は、是非一度ご一読いただければ幸いである。
ワークライフバランスには、大小さまざまな「選択」が同居する。働く、結婚する、子どもを持つ、資格取得等に挑戦するなど、生き方の選択が大きな「選択」だとすると、ワークに力を入れるがゆえに出てくる家族の負担や、ライフを重視するがゆえに出てくる仕事上の制約に悩み、「なぜ働くのか」と自問自答しながら行う日々の「選択」もあるだろう。
従来「ワークライフバランス」の主語は女性であることが多かったが、最近では男性のワークライフバランスも注目されつつある。ただ、たとえば日本の6歳未満の子を持つ男性の育児時間は1日平均25分(総務省「社会生活基本調査」)であることにも象徴されるように、多くの男性がワークに専念、あるいはワークに極度に傾斜したバランスになっているのが現実である。
さて、今年から定年退職を迎え始める団塊の世代を含め、現在定年前後にあたる男性は、「仕事人間、会社人間」と揶揄されてきた世代である。家庭における男女の役割分業が定着した世代であり、多くの男性にとっては「働かなければならないので働く」という状況が当たり前だったと推察される。彼らは定年後、どのようなバランスを「選択」するのだろうか。
ニッセイ基礎研究所が1997年から2005年にかけて中高年男性を追跡してきた「中高年パネル調査」によると、「働かなければならないので働く」という状況にある男性は、定年前には7割強だったが、定年後は5割強へと低下している。逆に、「働きたい(生活目的以外)ので働く」という男性は定年後には4人に1人にのぼり、「働かない(自己選択)」割合も定年後に増加する。定年後の男性にとって、「働かなければならないので働く」以外の選択肢を得ることは、「働く意味」を問い直す必要性が出てくることと表裏の関係にある。定年というダイナミックな変化をガッチリと受け止め、「働く意味」を「哲学」しながら、しなやかにワークとライフのバランスをとっている男性は決して少なくない。
このように、定年前後の男性が、ワークとライフの狭間で悩みながら自分らしいバランスを模索し、「選択」する過程を、書籍『定年前・定年後』として朝日新聞社より本日刊行した。定年前後の生活にご関心のある方々は、是非一度ご一読いただければ幸いである。
(2007年10月05日「研究員の眼」)
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松浦 民恵
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