コラム
2007年04月16日

株式市場に参加するなら

萩尾 博信

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2月下旬からの世界的な株価連動安の中、日経平均は、5営業日で1,573円(8.6%)の下落となったが、約20年前のブラックマンデーに比べると、軽微に見える。ちなみに、1987年10月20日は、1日で3,836円(14.9%)の大暴落であった。

さて、年寄の昔話で恐縮だが、私は1986~1991年の間、朝日新聞に「生保系投資顧問会社チーフマネジャー」の名前で市場見通しを書いていた。大暴落の1ヶ月前の1987年9月20日には『債券相場から占えば株価のピーク近いが』と書いたが、残念ながら持ち株をゼロにする芸当はできなかった。11月8日に『「売るべし、買うべし、休むべし」使い分けを』で、反省の弁と、長期投資家には買い場で、悲観して底値売りしないように警告した。さらに年明けの1988年1月10日に『夜明けは近い、反転上昇の機熟す?』で、3月中旬に暴落前高値に挑戦すると占ったが、予想以上のハイペースで上昇していた3月6日には『思い上がれば下り坂、引き続き冷静対処を』と自戒するほどであった。

ところで、『夜明けは近い』と書いた直後に、中曽根内閣の主要閣僚とお目にかかった。「合併症(家計・財政・貿易の三つ子の赤字)に悩む米国には、点滴(わが国機関投資家や当局によるドル債購入)されており、為替安定とわが国の金利低目誘導が不可欠なので結局、カネ余りが続く。わが国の経済は健全で企業業績も不安が少ないので、株価は上昇トレンドに戻ると考え、日本株を買っている」と説明した。実は、その折聞いた『世界の3大アレルギー』のキーワードを、私は深く記憶にとどめてきた。すなわち、被爆国日本の核、西独のインフレ(第1次大戦後のハイパーインフレ)、米国の株大暴落(1929年の大恐慌)の3つは、いずれも国民の不安が格別で、対処を誤れば政権の致命傷となる、という趣旨であった。切れ味鋭く1時間も若造の話に耳を傾けて、株式市場の安定を模索する姿勢に、迫力を感じた次第である。

そもそも、M&Aやヘッジファンド隆盛時代における企業の株価を、業績や金利だけでは説明しきれないし、常に市場全体の動きを予測するのも至難の業である。銘柄選択に株式投資の醍醐味を味わう投資家も多いが、市場に勝つのは容易でない。そこで、市場に負けないインデックスファンドなどの利用も、ひとつの選択肢ではないかと考える。
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