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■目次
1.個人金融資産獲得に向けた動き
2.個人金融資産形成のメカニズムと2010年度の試算
■introduction
1,200兆円の個人金融資産をターゲットにアセットマネジメント業界で熾烈な争いが展開されている。新規参入はもちろんのこと、従来の同業種間の合併から、昨今では銀行、証券、生損保を横断する大型提携が急増している。来年には確定拠出型企業年金の導入も予定されており、提携・合併の流れは今後も続こう。
競争激化の背景には、(1)個人金融資産が安全資産に偏重していること、(2)金融ビッグバンを契機に消費者の金融資産の配分や運用管理の重要性についての意識が急速に高まったことがある。またアセットマネジメントを受託する金融機関の側にも、個人金融資産残高が将来的にも順調に増加し、この分野が次世代の収益基盤となるといった暗黙の前提があることが指摘できるだろう。
周知のように、日本銀行「資金循環勘定」によれば個人金融資産残高は一貫して増加を続けている(98年9月末現在1,228兆円の残高は10年前の1.8倍)。しかしつぶさに毎年の増加額に注目してみると景気低迷などの影響から足元では過去のような高い伸びになってはいない。
さらに、より長期的には急速な高齢化の進行に伴う社会・経済構造の変化は個人金融資産の将来に大きな変化を及ぼす。いうまでもなく高齢化は、労働力人口の減少を通じて経済成長率の低下をもたらす一方、社会保障給付費の増加とそのための負担を増大させる。今後、厚生年金保険料率の引き上げ等により勤労者世代の負担がさらに増えれば、可処分所得が減少し、個人金融資産の蓄積も思ったように進まない。他方、引退世代の公的年金制度も漸次削減されることは確実である。こうして個人金融資産残高が減少するという事態も十分に起こり得るのである。
(1999年01月25日「基礎研マンスリー」)
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03-3512-1837
- ・ 1992年 :日本生命保険相互会社
・ 1995年 :ニッセイ基礎研究所へ
・ 2021年から現職
・ 早稲田大学・政治経済学部(2004年度~2006年度・2008年度)、上智大学・経済学部(2006年度~2014年度)非常勤講師を兼務
・ 2015年 参議院予算委員会調査室 客員調査員
矢嶋 康次のレポート
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