2015年03月30日

鉱工業生産15年2月~在庫調整圧力が残り、生産の回復ペースは緩やかにとどまる

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・2月の生産は前月比▲3.4%の大幅低下
・2四半期連続の増産も伸び率は鈍化

■要旨

経済産業省が3月30日に公表した鉱工業指数によると、15年2月の鉱工業生産指数は前月比▲3.4%と3ヵ月ぶりに低下した。先月時点の予測指数の伸び(前月比0.2%)、事前の市場予想(QUICK集計:前月比▲1.8%、当社予想も同▲1.8%)をともに大きく下回る結果となった。ただし、2月の大幅低下は1月に大幅に上昇(前月比3.7%)した反動の側面もあり、均してみれば緩やかながら生産の回復基調は維持されていると判断される。
出荷指数は前月比▲3.4%と生産と同じ低下幅となり、在庫指数は前月比0.5%と3ヵ月ぶりに上昇した。

製造工業生産予測指数は、15年3月が前月比▲2.0%、4月が同3.6%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(2月)、予測修正率(3月)はそれぞれ▲2.5%、▲1.3%となり、生産計画が下方修正される傾向が続いている。
予測指数を業種別に見ると、化学(3月:前月比2.2%、4月:同1.8%)が2ヵ月連続の増産計画となる一方、鉄鋼(3月:前月比▲2.6%、4月:同▲0.3%)、非鉄金属(3月:前月比▲0.3%、4月:同▲2.0%)が2ヵ月連続の減産計画となるなど、ばらつきが大きくなっている。
15年2月の生産指数を3月の予測指数で先延ばしすると、15年1-3月期は前期比1.1%となる。2四半期連続の増産はほぼ確実だが、14年10-12月期の前期比1.7%から伸びが鈍化する公算が大きい。在庫指数は消費税率引き上げ後に大きく上昇した後、夏頃から低下し始めたがこのところ一進一退の動きとなっており、特に輸送機械の在庫水準は軽乗用車を中心として高めとなっている。輸出は持ち直しつつあるものの、個人消費を中心とした国内需要の回復力が弱いことが在庫調整の進捗ペースの鈍さにつながっていると考えられる。消費税率引き上げから約1年が経過したが、依然として在庫調整圧力が残っていることから、生産の回復ペースは当面緩やかにとどまる可能性が高いだろう。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

(2015年03月30日「経済・金融フラッシュ」)

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