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- 【台湾10-12月期GDP】前年同期比+3.2%~輸出主導の安定成長は継続~
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1.10-12月期は前年同期比+3.2%
台湾の行政院主計総処は1月30日、2014年10-12月期の実質域内総生産(GDP)の速報値を公表した。成長率は前年同期比+3.2%と、前期(同+3.6%)から減速した。これは11月に行政院主計総処が公表した見通し(同+2.8%)を上回ったが、市場予想(同+3.3%)を下回る結果であった。また、2014年通年の成長率は前年比+3.5%と3年ぶりに3%台の成長となった。
2.輸出主導の安定成長が継続
2014年10-12月期の成長率は2期続けて鈍化し、直近5四半期で最も低い水準を記録した。成長率鈍化の主因は、昨年9月の廃油ラード事件で食品の安全への懸念から消費者心理が悪化したこと、また昨年11月の統一地方選における与党敗北を受けて政治の不確実性が高まったことから、個人消費・民間投資が鈍化したと見られる。
先行きは、米国向けを中心とする輸出主導の安定成長が続くと見ている。海外は米国の景気回復が見込まれるほか、中国の景気減速のペースがごく緩やかなものであることから輸出が大きく下振れる可能性は低いだろう。主力のIT関連製品の製造業は米国・中国企業に対する新型スマートフォン・ウェアラブル端末の製造や部品供給が好調で、企業の設備投資意欲は衰えておらず、雇用環境も改善が続いている。また、足元の資源価格の下落は、インフレ率の低下を通じて実質所得を向上させるほか、企業の生産コストを低下させることから、個人消費や投資の追い風になると見込まれる。ただし、製造業の出荷・在庫バランスを見ると、足元ではやや在庫積み上がり局面に入ったとも見られ、先行きの生産の鈍化には注意を払う必要があるだろう。
また、政策面からの後押しについては、期待できない状況が続きそうだ。与党・国民党は2016年1月の総統選では政権交代の可能性が高まっているだけに、党の支持率回復のために分配政策の優先度を上げることとなり、「両岸協議監督条例」、「中台サービス貿易協定」、「自由経済モデル区特別条例」などの審議の進展は期待できなさそうだ。昨年11月に中韓FTAが実質的に妥結し、今後は中国市場における台湾企業の優位性が弱まりかねないだけに、対中融和政策と分配政策のバランス感のある政策実行力が求められる。
(2015年02月02日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
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