2016年03月17日

【3月米FOMC】予想通り、政策金利据え置き。成長率、物価見通しを下方修正

経済研究部 主任研究員   窪谷 浩

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1.金融政策の概要:予想通り、政策金利を据え置き。16年の成長率、物価見通しを下方修正

米国で連邦公開市場委員会(FOMC)が3月15-16日(現地時間)に開催された。市場の予想通り、FRBは政策金利を据え置いた。
今回発表された声明文では、景気の現状認識について、民間設備投資が下方修正された一方、足元で物価が上昇していることに言及された。景気見通しについては、世界経済や資本市場の動向がリスクと明記された一方、モニタリング項目として前回言及されていた労働市場の動向が削除され物価動向により注視する姿勢が示された。今回の金融政策決定に際しては、カンザスシティー連銀のジョージ総裁が政策金利を引き上げるべきとして反対票を投じた。
一方、FOMC参加者の見通しは、前回(12月)から成長率や物価が下方修正される一方、失業率は上方修正された。また、政策金利は16年の政策金利引き上げ幅が前回(12月)の1.0%ポイントから0.5%ポイントに下方修正された。

2.金融政策の評価:追加利上げの時期、利上げ幅は海外経済、資本市場の動向次第

政策金利の据え置きは当研究所の予想通り。また、FOMC参加者の物価見通しや政策金利の見通しが下方修正されたことも予想通りである。声明文で世界経済や資本市場の動向が米経済や物価見通しに対するリスクと明記されたほか、イエレン議長の記者会見でも基本的な景気認識などでは前回(12月)から大幅な変更はないものの、政策金利据え置きの理由として、世界経済や資本市場の実体経済への影響を見極めるためとしており、金融政策の意思決定において重要な要因であったことが示された。もっとも、FRBはここ数ヶ月でこれらの状況は改善しているとしており、年初からの変動による実体経済への影響を見極めた上で、政策金利の引き上げを再開するとみられる。
2月上旬の同議長の議会証言でマイナス金利政策の検討に言及されたことから、米国のマイナス金利政策採用の可能性について注目されていたが、同議長は本日の会見でその可能性を否定した。
一方、金融政策目標である労働市場と物価に関しては、労働参加率の改善などを背景に労働市場の回復に自信を深めているものの、物価については足元で幾分上昇がみられるものの、物価見通し下方修正にもみられるようにあくまで一時的な要因で、今後も低下圧力がかかるとFRBはみているようだ。原油価格が明確な上昇基調に転じない限り物価面からの追加利上げ加速の可能性は低い。
当研究所では、米資本市場の不安定な状況が長期化しない前提で16年は6月と12月に0.25%ずつ、合計0.50%の利上げを予想している。

3.声明の概要

(金融政策の方針)
  • FF金利の誘導目標を0.25-0.50%の水準に維持(変更なし)
  • 政府機関債、MBSの償還分はMBSへ再投資(変更なし)
  • 米国債の償還分は米国債へ再投資(変更なし)
  • FF金利の正常化が十分に進展するまでこの方針を続けることを見込む(変更なし)
  • 長期債を高水準で保有し続けることで緩和的な金融環境を維持する(変更なし)
 
(フォワードガイダンス、今後の金融政策見通し)
  • 金融政策スタンスは依然として緩和的であるため、更なる労働市場の改善や物価の2%への上昇を下支えする(変更なし)
  • FF金利の目標レンジに対する将来の調整時期や水準の決定に際して、委員会は経済の現状と見通しを雇用の最大化と2%物価目標に照らして判断する(変更なし)
  • これらの判断に際しては、雇用情勢、インフレ圧力、期待インフレ、金融、海外情勢など幅広い情報を勘案する(変更なし)
  • 現状でインフレ率が2%を下回っている状況に照らして、委員会は実績と物価目標に向けた見通しを注意深くモニターする(変更なし)
  • 委員会は、FF金利の緩やかな上昇のみを正当化するような経済状況の進展を予想しており、暫くの間、中長期的に有効となる水準を下回るとみられる(変更なし)
  • しかしながら、実際のFF金利の経路は、今後入手可能なデータに基く経済見通しによる(変更なし)
 
(景気判断)
  • ここ数ヶ月の世界経済や金融情勢にも係わらず、経済活動は緩やかなペースで拡大した(“economic growth slowed late last year”から上方修正)
  • ここ数ヶ月、家計消費は緩やかに拡大した(“設備投資”を削除)
  • 住宅市場はさらに改善した(変更なし)
  • 設備投資と純輸出は軟調となっている(“business fixed investment”を追加し設備投資を下方修正)
  • 在庫投資は減速した(今回削除)
  • 力強い雇用増加を含む最近の広範な指標は労働市場が力強さを増していることを示している(労働資源の使われていない部分”underutilization of labor resources”に関する記述を削除)
  • インフレ率はここ数ヶ月は上昇したものの、インフレ率は、エネルギー価格や、エネルギー以外の輸入品の価格下落を反映して、2%の長期的な目標を下回り続けている(”Inflation picked up in recent months;”を追加し、足元の状況を反映)
  • 市場が織り込むインフレ率は低位に留まっている(”declined further”から”remain low”に表現変更)
  • 調査に基く長期物価見通しは、最近数ヶ月は全般的に変化に乏しい(変更なし)
 
(景気見通し)
  • 委員会は、金融政策スタンスの漸進的な調整により、経済活動は緩やかに拡大し、労働市場の指標が引き続き強くなると、現状で予想している(変更なし)
  • しかしながら、世界経済と金融情勢が引き続きリスクである(新規追加)
  • インフレ率は、エネルギー価格のこれまでの下落もあって、短期的に低水準に留まるとみられる(“the further”から”earlier”に表現を変更)
  • エネルギーや輸入価格のこれまでの下落といった一時的な要因が解消することや労働市場の更に強くなることによって、(インフレ率は)中期的には2%に向けて緩やかに上昇すると予測する(変更なし)
委員会は、引き続きインフレ動向を注視する(“世界の経済と金融の動向を注視し、労働市場やインフレ率、また見通しに対するリスクバランスへの影響を評価する”からインフレ動向だけに対象を限定)
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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

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