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中国経済見通し~構造改革の本格化で成長率鈍化も、財政の発動で景気失速は回避へ

三尾 幸吉郎
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- 2015年は「新常態」への移行を目指す構造改革が本格化した年であった。世界経済の視点に立てば、中国の構造改革で資源需要が減退し、ひとつの波乱要因となった年だった。一方、中国経済の視点に立てば、成長率は鈍化したものの目標をほぼ達成、雇用不安に陥るのも回避できた。また、「成長の壁」にぶつかっている“第2次産業から第3次産業への構造転換”、過剰投資・過剰債務に陥っている“投資から消費への構造転換”も着実に一歩前進した年でもあった。
- 一方、2015年のインフレ率を見ると、消費者物価(CPI)は低位で落ち着き、生産者物価は大きく下落した。工業製品の価格が下げ止まらない背景には、世界的な原油安に加えて、中国が抱える過剰生産設備の問題がある。経済成長率が鈍化し、生産者物価に下落圧力がかかる中で、中国人民銀行は金融を緩和方向へ調整した。そして、企業の調達コストを引き下げ、個人が住宅ローンを借り易くすることで、景気が失速するのを回避した。
- ポイントとなる投資と消費の行方を考えると、消費は引き続き景気の牽引役となるものの、賃金の伸び鈍化と実質所得の目減りによって、実質GDP成長率へのプラス寄与は2015年よりも縮小すると見ている。また、投資は製造業・不動産業では伸びの鈍化傾向が続くものの消費サービス関連・インフラ関連が堅調なことから昨年並みのプラス寄与で横ばいだろう。
- 今後はさらに構造改革が進展すると見ていることから、経営破綻や雇用流動化といった負のインパクトが働いて成長率を鈍化させるだろう。但し、中国政府は財政政策などの発動で景気を下支えして失速を回避する姿勢を鮮明にしている。従って、2016年の経済成長率は前年比6.5%増、2017年も同6.5%増と緩やかな鈍化(ソフトランディング)を予想している。
■目次
1.国内総生産(GDP)
2.デフレ懸念の深刻化
3.ポイントとなる投資と消費の行方
1|投資の行方
2|消費の行方
4.経済見通し
(2016年02月26日「Weekly エコノミスト・レター」)
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