2015年10月13日

欧米生保市場定点観測(毎月第二火曜日発行) 米国医療保険業界の地殻変動―オバマケアへの対応強化でメガ3社体制へ―

松岡 博司

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■要旨

米国のヘルスケア・医療保険業界では、本年7月、相次いで2件、業界第2位と第5位会社、第3位と第4位会社の買収合意が発表され、合従連衡の動きが加速した。
計画されている2件の大型買収が、予定通り2016年に完了すれば、米国のヘルスケア・医療保険業界では、年間営業収益が1,000億ドル(12兆円)を超える、巨大な3社による支配的な状況が確定することになる。
今回の買収は、以下を目的として実施された。
(1)オバマケアによる環境変化への対応としての、規模の拡大と経営の効率化、事業の多角化
(2)M&Aにより規模を拡大する病院、製薬会社等、医療プロバイダーに対する交渉力の維持・強化
(3)今後の成長分野であるメディケア、メディケイドでのシェア拡大
2つの買収案件は、州当局およびFTC等連邦競争政策当局による審査を受け、承認が得られれば成立する。
我が国と異なり、高齢者向けと低所得者向けの制度の他には、公的な医療保険制度がない米国において、医療保険の主たる提供者である民間医療保険会社間で寡占が進行することは、どのような意味を持つのか。
懸念を深めた米国上院の小委員会では、本年9月22日、こうした再編が医療保険市場や消費者にどのような影響を与えるのかをテーマとする公聴会も開催された。
監督当局による審査の帰趨を含め、米国ヘルスケア・医療保険業界の再編動向については、今後も注視し続けていきたい。

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(2015年10月13日「基礎研レター」)

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