2005年09月25日

はじめに

常務取締役理事   神座 保彦

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ニッセイ基礎研究所の所報特集号として「中高年ライフコース研究II」をお届けさせて頂きます。これは、ニッセイ基礎研究所が1997年以来定期的に実施して参りました「中高年パネル調査」の第4回調査(2003年実施)までの分析結果を5編の論文にまとめたものです。
このパネル調査は、アンケートにお答え頂く回答者の方々を8年にわたり、時系列的にトレースさせて頂くものです。調査対象は、1997年の調査スタート時点に50歳から64歳であった男性の方々であり、そのなかには、昨今話題の「団塊の世代」が含まれております。したがいまして、本調査の調査期間中に定年退職前後の時期が到来する母集団構成となっており、男性の勤労者にとって人生のなかで大きな出来事であろう定年問題を取り巻く諸状況が測定できることがひとつの特色となっております。
今でこそ「団塊の世代」が話題になっておりますが、これに関する調査を8年前にスタートしていたということは、私どもが密かに自負するところでございます。
本特集号は、5編の論文からなりますが、それぞれ、パネル調査の特色であります時系列での変化を意識した分析を心がけております。不特定のサンプルの一断面だけ見て何かを類推するタイプの調査に比べ、同一サンプルにおける時系列変化を抽出できるパネル調査は、様々な切り口での分析が可能と考えております。各論文が、このメリットを生かしきっているか否かのご判断は読者の皆様のご判断に委ねられるものとしても、どこかでパネル調査の威力を感じ取って頂くことができれば、研究員一同の喜びでございます。
各論文は、「引退過程における人間関係」(岸田論文:中高年男性の定年に関する基礎研究II)、「中高年世帯における家族観」(武石論文:親世代からみた「パラサイト・シングル」の実態)、「経済的バックグラウンドと金融行動」(栗林・井上論文:中高年生活者のリスク性金融商品利用に関する一考察)、「中高年の不安とメンタルヘルス」(松浦論文:中高年男性の不安の構造を探る、天野論文:中高年の仕事とメンタルヘルスの構造)といったところに焦点を当てた分析を展開しております。
なお、ニッセイ基礎研究所では、本年に第5回の調査を予定しており、これが終了したところで一連のパネル調査が終結することとなります。その段階では更なるデータの集積が進むわけですので、これまで提示させて頂いた各論点の再検証も含め、結果の最終的なフィードバックを予定しております。将来に向けて、分析の完成度を高める努力を続ける所存でございますので、読者の皆様にはご支援下さいますようお願い申し上げます。また、これまで4回にわたり長文のアンケートにお答え頂いた回答者の皆様および、調査設計をご指導下さった諸先生方にはこの場を借りてお礼申し上げますとともに、今後の調査完結に向けてのご協力をお願い申し上げます。

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