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2018年10月17日開催

基調講演

人を活かす働き方を考える

講師 津田塾大学 客員教授|元厚生労働事務次官 村木 厚子氏

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2018年10月17日「「働き方改革」を活かした企業の成長戦略」をテーマにニッセイ基礎研シンポジウムを開催しました。

基調講演では元厚生労働事務次官 津田塾大学 客員教授 村木 厚子氏をお招きして「人を活かす働き方を考える」をテーマに講演頂きました。

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  ■目次
1—— はじめに
2—— 少子化の進行と人口減少
3—— 社会保障給付費の拡大
4——支える人を増やす
5—— 一億総活躍
6—— 働き方改革
7—— 労働生産性を上げるために
8—— テクノロジーが仕事を変える
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はじめに

1——はじめに

皆さん、こんにちは。今日はこれだけたくさんの皆さまの前で、特に私自身、非常に大事なテーマだと思ってきた働き方改革についてお話ができるということで、大変うれしく思っています。

法案も通って、この政府、今の政権は、非常に働き方改革を熱心にやっているわけですが、ちょっと振り返ってみると、確か今の安倍政権になってから一番最初のスローガンは「女性活躍」だったというふうに皆さんご記憶になっていらっしゃるだろうと思います。その後「一億総活躍」、次に「働き方改革」が来て、最近は「人づくり革命」というふうにテーマがいろいろ出てくるわけです。人によっては、スローガンの多い内閣というふうに言う方もいらっしゃいます。

私自身は、表に出てくる言葉は変わりますけれども、これらのテーマには一貫性があるというふうに思っています。ただ、スローガンが変わる。実は本音で言うと、多分これは政権の中枢に経産省の人が多いからではないかと思っています。どうしてかというと、経産省の人はラッピングがすごくうまいのです。厚生労働省はラッピングが下手なのです。ラッピングは人にいかに見せるかなので、非常に大事。でも、それを新しいものが動いているように見せたいということで、頻繁にテーマが変わっているということなのですが、実は基本にある流れはかなり一貫したものだというふうに思っています。

安倍政権が一番最初に言い始めたのは「女性活躍」です。もちろん日本の総理大臣というのは、女性の活躍などどうでもいいという総理大臣はいませんでした。いませんでしたけれども、安倍さんはそれまでの総理とちょっと違う。何が違うかというと、それまでの総理は、お願いに行くと「女性は大事」という発言をしてくれました。安倍さんは、お願いしないところでもしょっちゅう「女性が大事」というふうに、言ってくださる。

あるとき、防衛省に呼ばれて、「防衛省で女性活躍の話をしろ」と言われて出掛けていった。防衛省の幹部が全国から集まる重要会議だったのですが、それに呼ばれて「女性活躍というテーマで話をしろ」というオーダー自体、私も相当びっくりしたのですが、その会議の朝一番は、総理の訓示、「安倍総理は訓示で何を話したのですか」と言うと、なんと「女性活躍だ」と言うのです。疑ったわけではありませんけど、「本当?」と言って、訓示のメモみたいなものがあるので、それをちらっと見せてもらったら、3分の1ぐらいが女性の話、女性自衛官の話だったのです。

総理の後、当然、防衛大臣が話をする。「防衛大臣は何の訓示ですか」「女性活躍」。その後、次官の訓示です。「次官は何を話したのですか」「女性活躍」。ということで、非常にびっくりしました。頼まれたわけではなく、総理があらゆるところでそういう話をするようになったというのは、非常にやはり大きな変化だなというふうに思っています。

では、安倍さんがフェミニストかというと、そうではないだろうと思っています。いいですね、辞めるとこういうことが言えるので。やはり家族に対する価値観としては、割と古いタイプの方なのではないかと私は思っているのですが、その安倍さんが女性活躍と言わなければいけない。その原因はやはり少子化です。(以下スライド併用)
 

2——少子化の進行と人口減少

2——少子化の進行と人口減少

今見ていただいているグラフは、どんなときでも私が皆さんと一緒に見ることにしているグラフなのですが、左側のグラフをちょっと見てください。昭和22年から最近までの、毎年生まれる子どもの数です。

一番左にある高い山は団塊の世代が生まれたところです。1年に270万人の赤ちゃんが生まれました。そこから1回ぐっと子どもの数が減ります。次に、左から3分の1ぐらいのところにもうひと山来ます。あれが第2次ベビーブーム、昭和40年代後半です。あそこになぜ山があるかというと、団塊の世代がちょうど親になった頃です。親がたくさんいるから子どもがたくさん生まれました。そこから後はもうひたすら落ちるだけで、どんどんと子どもの数が減って、今では年間100万を切り、90万人台の子どもしか生まれないということになっています。

このグラフは、子どもが減っているという説明によく使うのですが、非常に大事なポイントが二つあるというふうに思います。

一つは、真ん中の山は、団塊の世代が親になったときに子どもがたくさん生まれたと言いました。では、この真ん中の第2次ベビーブーマーは今何歳か、彼らは今40代です。子どもを生み終わったということです。これだけたくさん親がいたのに、子どもが生まれない。このグラフの大事なポイントの一つ目は、三つ目の山がないということです。あれだけ親がいても子どもが生まれない、生まれにくくなっているということです。

もう一つのこのグラフの大事なポイントは、真ん中の山をもう一回見てください。あそこはもう40代です。そうすると、その右が30代、さらにその右が20代です。親適齢期の人数が減っている。つまり、子どもが減るのを通り越して、これからは親が減るということです。

親が減るとどうなるかというと、出生率がちょっとぐらい上がっても、親が減るので子どもの数が増えない時代に日本が突入した。これがこのグラフの二つ目に大事なポイントです。

そうすると将来の人口はどうなるかということで、一番新しい人口推計ではないのですが、100年後の推計をしているのがこれだけなので、ちょっとこれを見てください。

大ざっぱに2010年、それから2030年、2060年、2110年、50年後、100年後までの予想を書いてあります。人口が減ること自体は大して問題ではないと私自身は思っています。厳しいのは、人口構成が変わることです。真ん中の緑色が現役、上に乗っかっている茶色いのが高齢者です。一番左の2010年には、現役3人で高齢者1人を養っていた。2030年には2人で1人、2060年、2110年には1人で1人を養う時代が来ることになるということです。そういう意味では、非常にやはり日本は厳しい。

では、望みはないのか。望みはあると思っています。望みの一つ目は、2060年の緑色、これは半分はもう生まれています。でも、残り半分はこれから生まれる人です。2110年の緑色は、まだ誰も生まれていません。これから生まれる。日本の国が、もう少し子どもを生みやすくなるかどうか。そこが変われば、変わる部分がそこです。逆に2030年の緑色、全員が生まれています。今さら増やせない。あとは外国人を連れてくるしかないということです。つまり、変えられる未来と変えられない未来が、この同じグラフの中に一緒に書かれている。そうすると、われわれは変えられる未来を変える努力をまずしなければいけない。

では、変えられない未来のところはどうするか。与えられた条件の中で、どこに希望を見いだすかということなのですが、緑色というのは男女込み込みです。残念ながら日本はまだ女性の力は十分に使えていない。だから、女性のパワーを使えれば、このグラフの意味は随分違ってくる。

もう一つは茶色いところ、65歳で切っています。これを75歳で切ったら、このグラフは全然違ってきます。今回の社会保障の改革や見直しをやるときに、65歳以上の雇用を見直すというのがトップバッターに来ていますけれども、いかに高齢の方が活躍できるようにするかということを考えたいという政府の意向が見えているのが今の状況です。
 

3——社会保障給付費の拡大

3——社会保障給付費の拡大

私自身は、望みがある、やれることはたくさんあると思っているのですが、それにしても厳しいのは、やはり社会保障にかかるお金です。現在までこれだけの社会保障の増加をこの国は見てきました。圧倒的にお金がかかるのは年金で、その次が医療で、福祉も介護がありますから増えてきました。

この社会保障をどうやって賄っているかというと、実は借金で賄っているということになる。これは財務省のホームページから引っ張ってきたグラフです。折れ線が二つあります。上の折れ線が一般会計の歳出、出ていくお金です。下の青い折れ線が一般会計の税収、入ってくるお金です。相当出ていくお金の方が多い。本当な赤字会計で、しかもその赤字幅が、ある時期からぐっと広がって、最近も減ってはいないということです。

数年前まで、私などはひそかにこのグラフにニックネームを付けて、「ワニの口」というふうに呼んでいたのですが、最近財務省も開き直りまして、財務省のホームページにワニの絵が描いてあるという状況になっているのですが、ワニの口にそっくりなグラフになっているということです。

こういう中で始まったのが消費税上げであり、社会保障改革です。消費税を5%から10%に上げるのを断行しようということで、2回の政権交代を挟んで、3代の政権で消費税上げをやってきた。やっと来年10月に10%まで行くかなというところまで来ました。政権交代をする、そして引き上げ延期を2回するというぐらい苦しんで、このことをやってきた。日本の政治は三流だというふうによく悪口を言われますが、この消費税上げを一生懸命やっていることだけは、ちょっと皆さんにも褒めてあげてもらいたいなというふうに思っています。

私が役人をやっていたときに、もちろん社会保障をしっかりさせたいので、消費税上げをお願いしたい気持ちがいっぱいでしたけれども、あえて「消費税を上げてくれ」と言わないというふうに決めていました。代わりに、「皆さんが決めてください」と。でも、負担がないところで社会保障を充実することはできない。「どれだけの負担で、どれだけの社会保障を実施するかということは、有権者が決めることです」というふうに言ってきた。

そして、必ず最後にお願いしたのは、「これだけはやめてください。これが最悪です」と言ってきた。何を言ってきたかというと、「もらいたいけれども払いたくない国民と、配りたいけれども集めたくない政治家の組み合わせが最悪です」というふうに言ってきました。すごく簡単なのです。両方とも嫌なことから逃げるとどうなるか。後の世代に付けを残せばそれができてしまうということです。

それを何とかしようということで、ぎりぎりのところでこらえて、来年10月に消費税が10%になるかなというところです。軽減税率もいいのですけど、軽減税率をやると入ってくるお金が少なくなりますから、なかなか厳しいところですが、そういうところまで来ました。
 

4——支える人を増やす

4——支える人を増やす

これは苦しい改革なので逃げたくなる。実は、もう一つ方法がある。この赤字、この厳しい状況、われわれの子どもたちに借金を残す、少子高齢化で高齢者を支え切れなくなる状況を改善するために、実はもう一つやり方がある。それは何か。社会保障を削るのでもない、負担を増やすのでもない、もう一つのやり方は何か。支える人が増えることです。これは、みんな比較的ハッピーにやれる改革だということです。

4——対外政策

4—1.女性の就業率向上

働く人を増やす。特に期待されているのは女性ですけれども、そのことをちゃんとやろうというのが、実は政府の大きなテーマになってきました。一番の潜在パワーとして期待されているのが女性です。だから、「女性活躍」から始まった。今、働く人の4割強が女性です。でも、ちょっと右側のグラフを見ていただきたいのですが、横軸は年齢、縦軸はその年齢の女性が働いているかどうかということです。下の折れ線が本当に働いている人、それに重なって上にあるのが、働きたい女性も足した分です。この差の分だけ女性の潜在パワーがあるということです。

これを海外と比べると非常に分かりやすいのですが、左側のグラフの、太いMのような形をしたのが日本の女性の働き方で、真ん中がくぼんでいるのがちょうど子育ての時期です。韓国は日本とそっくりです。他の国はほとんどおわんを伏せたように、真ん中がへこんでいないということになる。

日本の女性は子育てを大事にしているのだなと思いたいのですが、ではあれだけ子育て期に仕事を辞めている日本の女性が、ちょっと有り体に言うと、生んでいるかというと、右側のグラフを見てください。横軸が女の人の働いている割合です。縦軸がその国の出生率です。点線で囲んだのが日本です。M字カーブで子育て時期は仕事を諦める人が多いのに、日本の出生率は非常に低い。低いグループにいるのが、日本、韓国、イタリア、スペイン、ここに出ていませんがギリシャです。

何とか抜け出そうとしている、そこから抜け出して上に行こうとしているのが日本とドイツで、今やっと抜け出そうとしているところです。以前よりは良くなりましたが、非常に出生率の低いグループになっている。

このグラフをわれわれが一生懸命勉強したときに、なぜこうなっているのかという議論をしましたが、やはりこうだろうと。日本は、女の人が働くことと、若い夫婦が子どもを持って子育てをすることが二者択一になっている。「両方は無理だよ。それはぜいたくだよ。どちらか諦めなさい。子どもが小さいうちはいいじゃないの。仕事を諦めたら」と言っている国で、両方できるようになっているのが右上のグループだというふうに思っています。

日本の女性は、実は非常にポテンシャルは高いといわれています。これは女性活躍のランキング、有名な世界経済フォーラムが作っているランキングですが、日本は144カ国中114位です。対象国数が増えているせいもあるのですが、じわりじわりと順位を下げている。安倍政権になったときにちょっとだけ良くなったのですけれど、また落ちてしまったのです。

なぜ順位が下がるのか。これは随分前になるのですが、私自身が役所にいた頃に、ここの事務局に問い合わせをしたことがあります。日本の女性活躍は年々良くなっているのに、なぜ順位が下がるのでしょうかと問い合わせをしました。そのとき私は、日本に不利なデータを使っているのではないか、あるいはデータの使い方をもしかして間違っていないかという疑いを持って事務局に問い合わせをしました。そのときに返ってきた答えは、「日本は良くなっています。でも、他の国はもっと速いスピードで良くなっています」とい
う言葉でした。

スピードが遅いというのは、そのときからずっと私自身の大きなテーマです。右側に日本のスコアの内訳があるのですが、実は日本の女性の健康度は世界一、平均寿命も長い。それから、教育はまずまずです。リケジョが少ないので、やはりトップクラスには行けないのだそうです。そこはいいのだけれど、経済活動、つまり仕事での活躍と政治参画、政治への活躍ができていない。これを海外の人が見るとどう思うかというと、非常に健康で優秀な女性を育てておきながら、その力を使わない。「もったいない国・日本」というのが日本に付けられたレッテルだということです。

それもあって、ちょうど安倍さんが総理になった前後に、いろいろなところからレポートが出ました。そのレポートのテーマは、みんな一緒です。もし日本が女性の力をちゃんと使えたら日本の経済成長はこれだけ良くなるのにというレポートが、IMFやOECDなどいろいろなところから出ました。こういう時期に安倍さんは総理になって、まず女性活躍をやらなければいけないという覚悟を決めたのだろうと想像しています。

この頃、海外の人がよく言っていたのは、タップというのですか、大きなワイン樽があります。それで、ワイン樽の横にワインを注ぐ口みたいものを付けて、ワインが出てくるようにする。ああいうふうに女性の力を使えるように、樽に入っているのを出せるように、日本がなるかどうかというのが世界の関心事だといわれました。

では、なぜ女性が思い切り力を発揮できていないのかというところなのですが、いろいろなデータを調べました。その中でやはり労働時間が非常に日本は長いということ。そういう中で、特に家庭責任を負った女性が働きやすい職場の雰囲気や環境がないということがかなりいわれました。

言われているとおり、労働時間・残業時間は非常に長いです。

特にこのグラフが、実は関係者に非常に問題を投げ掛けました。一番左のグラフは、6歳未満の子どもがいる夫の1日平均の家事時間です。日本は1時間ちょっとなのですが、他の先進国が大体2~3時間、つまり共働きが標準の形にシフトしている国と、家事・育児は女性という国と、道がまだ二つに分かれているということです。

真ん中のグラフは、日本のグラフです。下に行くほど男性の家事・育児時間が長い家庭です。伸びている青いところは何かというと、妻が仕事を辞めなかった確率です。

一番右側も日本で、下に行くほど夫が家事・育児をやる家庭です。伸びている白いグラフは何かというと、2人目以降が生まれた確率です。女性が働くとか、あるいは若い夫婦が子どもを持つということに、男性の働き方が非常に強く影響を与えていることが分かって、女性活躍からスタートすると必ずこの労働時間の問題に行き着いていく。それはそうですよね。私自身もちょっと反省していますけれども、自分の部下に女性がいると、家事・育児とうまく両立できるかどうかというのは非常によく配慮していたのですが、男
性の部下だとどうしてもそれがおろそかになる。

女性が職場に増えたことは皆さん目で見えていますけど、女性が増えるということは、働く女性を妻に持つ男性が職場に増えているということです。そのことはなかなか管理職あるいは経営トップの頭の中に入っていかない。なので、今は非常に大事な過渡期にある。女性のために何かしよう、女性社員の活躍を考えようという企業は増えましたが、そのことは会社全体が、男性も含めた働き方をちゃんと考え直すことだというふうにしっかりと理解できているかどうかというのは非常に難しいところだと思います。

今日は政策的な話をするのが目的ではないのですが、一つだけ女性活躍に関係して政策をご紹介したいと思います。女性活躍推進法です。

「えるぼし」というマークを、今日いらっしゃる企業でも取っていらっしゃるところが多いと思いますので、ご存じの方も多いと思います。女性活躍について自分の会社の状況をきちんと分析して、改善計画を作る。計画の中には数値目標も入れて、その計画を回して、また、成果を把握する。PDCAサイクルを回す。計画や現状は公表するという法律です。

例えば女性の管理職を3割以上にしなさいということは書いてありません。自分の会社でちゃんと実態把握をして、目標を作って、PDCAサイクルを回してというだけの緩い法律です。300人超の企業に適用されていて、「えるぼし」も随分取っていただいています。今日は企業の皆さんなのでお伝えしておきたいのは、これを今、学生がよく見ているということです。これで企業のデータが公表されているので、特に女子学生はこの企業の公表データをよく見ています。ぜひいい形で公表して、実態も上げていってほしいと思
います。

実はこの法律は、最初はあまり効果がないのではないかといわれたのです。でも、私自身はこの法律に非常に期待をしている。なぜかというと、この公表システムは非常に面白いと思っているのです。日本人というのは、ものすごく横並びを気にする。私が例えば伊藤忠に行っていると、伊藤忠で「わが社はこういうふうにやっている」といったときに、必ず他の商社、五大商社はどうしているかという話が出ます。

これは、役所も適用になるので、例えば私は高知の生まれですけれども、高知県庁はやはりライバルが気になるのです。高知県庁は、東京都庁をライバルにしたりしない。だけど、愛媛県庁に負けるのは絶対嫌なのです。だから、四国で何とか1番になりたいとか、高知市役所には負けてはいけないと思う。このライバル意識というか、いい意味で競い合っていただくのは非常にいいことだというふうに思います。

ちょっと余談になりますけど、私が学生時代に読んだ本で忘れられない本があって、『世界のジョーク集』という本です。こういう話が出てくるのです。「大嵐だ。船が難破しそうだ。海に救命ボートを下ろして、みんな乗客を救命ボートに移さなければいけない。でも、船の甲板から海の上に浮かんでいる救命ボートまでは相当高さがあって、飛び移るのにすごい勇気が要る。そのときにどうやって客をこの救命ボートに移すか」というのが出てくるのですけれど、そのジョーク集にはこう書いてありました。

「まずアメリカ人を探せ。アメリカ人を見つけたら、『今飛び移ればあなたが1番ですよ』と言え」と。「次にドイツ人を探せ。ドイツ人には『これは規則です』と言え」と。3番目、4番目がちょっと記憶が定かではないのですが、イタリア人だったかフランス人で、「『ボートには美人が乗っている』と言え」と。ずっと何カ国かあって、一番最後に日本が出てくるのです。何と書いてあったかというと、「日本人には『皆さま移られまし
たよ』と言え」と書いてある。そのとき、大学生だったのですが、何かものすごくショックで、「えっ、そうなのかしら」と思って、以来ずっと忘れられないのですが、逆に言えば、こうやらなければといったときは、みんなで動いてくれる国民性でもあるのかなというふうに思います。

今日、人事のご担当の役員の方もいらっしゃると聞いたので、実践的なものを一つだけ、女性について持ってきました。これは厚生労働省が作った女性活躍の四つの壁というものです。まず右上ですが、「採れていない、採用できていない」。右下は「育てていない」、ちゃんとした仕事を与えたり訓練したり教育したりできていない。左下の3番目は「続けられない」、あるいは「続けたくない」、ここにいても仕方ない。4番目、左上ですけれども、「昇進できない」、あるいは「昇進したいと思えない」という四つの壁があるといいます。

各社の女性活躍のレベルによって、どの壁が大きいかが違うと思います。非常にいい視点だと思うので、ぜひ帰って、うちの会社の壁はどれかというのをちょっと見ていただくと、解決策が見えてくるのではないかと思います。

【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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