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2025年11月11日
年金の「年収の壁」が実質引上げ!? 4月からは残業代を含まない判定も~年金改革ウォッチ 2025年11月号
03-3512-1859
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1 ―― 先月までの動き
先月は、年金改革に関係する審議会等が開催されなかった。
2 ―― ポイント解説:国民年金の第3号被保険者を判定する運営の変更
2026年4月から、「130万円の壁」とも呼ばれる国民年金の第3号被保険者の判定基準の運営が変更される*1。本稿では、現在の仕組みや今回の変更内容を確認したうえで、今後の課題を考察する。
*1 2025年10月1日に発出された厚生労働省の通知(労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いについて)による。同省によるQ&Aも公表されている。
*1 2025年10月1日に発出された厚生労働省の通知(労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いについて)による。同省によるQ&Aも公表されている。
1|130万円の壁とは:厚生年金加入者の配偶者が「扶養されているか」を判断する基準
公的年金の加入者は大きく3つに区分される。まず、70歳未満の正社員などは厚生年金の加入者となり、次に、厚生年金加入者に扶養される配偶者で日本に居住する20~59歳の人は、国民年金の第3号被保険者となる。最後に、日本に居住する20~59歳の人で、厚生年金加入者にも第3号被保険者にも該当しない人は、第1号被保険者となる。
いわゆる「130万円の壁」は、第3号被保険者の要件のうち「扶養される」の部分を判定する基準の1つ(年収130万円未満)である。しかし、前述のように厚生年金が優先して適用されるため、年収が130万円未満であっても厚生年金の対象となる勤務状況や賃金の場合は、第3号被保険者にならず厚生年金の加入者となる(図表1の上段右)。
言い換えれば、130万円の壁が問題となるのは厚生年金の対象とならない勤務状況の場合(図表1の下段)に限られ、厚生年金の対象となりうる勤務状況の場合(図表1の上段)には影響しない。
公的年金の加入者は大きく3つに区分される。まず、70歳未満の正社員などは厚生年金の加入者となり、次に、厚生年金加入者に扶養される配偶者で日本に居住する20~59歳の人は、国民年金の第3号被保険者となる。最後に、日本に居住する20~59歳の人で、厚生年金加入者にも第3号被保険者にも該当しない人は、第1号被保険者となる。
いわゆる「130万円の壁」は、第3号被保険者の要件のうち「扶養される」の部分を判定する基準の1つ(年収130万円未満)である。しかし、前述のように厚生年金が優先して適用されるため、年収が130万円未満であっても厚生年金の対象となる勤務状況や賃金の場合は、第3号被保険者にならず厚生年金の加入者となる(図表1の上段右)。
言い換えれば、130万円の壁が問題となるのは厚生年金の対象とならない勤務状況の場合(図表1の下段)に限られ、厚生年金の対象となりうる勤務状況の場合(図表1の上段)には影響しない。
2|変更の内容:給与収入のみの場合は130万円に残業代を含めない扱いを、2026年4月から開始
130万円に該当するか否かは、今後1年間の収入の見込みで判断される。この収入は配当収入などの様々な収入が対象となっており、給与収入における残業代も含まれる。そのため、第3号被保険者の中には、年収が130万円を超えないように残業などを控える人々が存在する。
そこで、2026年4月からは、給与収入のみの場合は労働契約で決められた賃金から見込まれる年間収入で判定し、労働契約に明確な規定がなく予め金額を見込みにくい残業代等は年間収入の見込みに含めない、という運営が行われる*2。
加えて、当初は想定されなかった臨時収入によって結果的に年間収入が130万円以上になった場合は、その臨時収入が社会通念上妥当な範囲に留まれば130万円未満と同様に扱う、という運営が行われる。このような場合については、一時的な収入変動であるという事業主の証明を添付すれば連続2回までは130万円未満と同様に扱うという運営が、2023年10月から当面の措置として行われてきた。しかし、変更後の運営は恒久的な措置として行われる。
*2 労働契約で決められた賃金から判定する点や残業代を含めずに判定する点は、いわゆる「106万円の壁」の判定と同じである。しかし、「106万円の壁」の基準(厳密には月8.8万円)は最低賃金法に基づいており賞与を含まないのに対して、今回導入される「130万円の壁」の基準は労働基準法に基づいており賞与等を含む点には、注意が必要である。
130万円に該当するか否かは、今後1年間の収入の見込みで判断される。この収入は配当収入などの様々な収入が対象となっており、給与収入における残業代も含まれる。そのため、第3号被保険者の中には、年収が130万円を超えないように残業などを控える人々が存在する。
そこで、2026年4月からは、給与収入のみの場合は労働契約で決められた賃金から見込まれる年間収入で判定し、労働契約に明確な規定がなく予め金額を見込みにくい残業代等は年間収入の見込みに含めない、という運営が行われる*2。
加えて、当初は想定されなかった臨時収入によって結果的に年間収入が130万円以上になった場合は、その臨時収入が社会通念上妥当な範囲に留まれば130万円未満と同様に扱う、という運営が行われる。このような場合については、一時的な収入変動であるという事業主の証明を添付すれば連続2回までは130万円未満と同様に扱うという運営が、2023年10月から当面の措置として行われてきた。しかし、変更後の運営は恒久的な措置として行われる。
*2 労働契約で決められた賃金から判定する点や残業代を含めずに判定する点は、いわゆる「106万円の壁」の判定と同じである。しかし、「106万円の壁」の基準(厳密には月8.8万円)は最低賃金法に基づいており賞与を含まないのに対して、今回導入される「130万円の壁」の基準は労働基準法に基づいており賞与等を含む点には、注意が必要である。
3|今後の課題:労使は第3号被保険者の縮小と将来的な廃止等を要望これらの変更は、「130万円の壁」の引上げとまでは言えないものの、残業代等が判定の際に考慮されないため、第3号被保険者が「130万円の壁」を気にして残業を控えることに対しては、一定の抑制効果を期待できる。図表2のように残業を行っているパート労働者は限られるが、変更されなかった場合と比べれば、人手不足の中で安価な労働力の確保が可能になる点や物価上昇下で安価な商品提供が可能になる点で、該当する第3号被保険者だけでなく、社会にとってもメリットとなりうる。
しかし、賃金が上昇する中で「130万円の壁」を意識して第3号被保険者が労働契約上の所定労働時間をさらに抑えることや、第3号被保険者が企業の社会保険料負担が不要な労働力として供給されることで第3号被保険者以外の賃金を抑制するなどの労働市場への影響は、この変更後も残る。
女性の雇用に関する制度の改善や厚生年金の適用拡大などを背景に、第3号被保険者の人数や女性における割合は低下傾向にある(図表3)。他方で、人手不足の中で「130万円の壁」は労使双方において課題となっており、経団連や連合は、さらなる適用拡大を通じた第3号被保険者の縮小に加えて、第3号被保険者制度の将来的な再構築や廃止を求めている。この制度については直接的な保険料負担の有無が話題になりがちだが*3、今回の変更を機に労働市場への影響が注目されることを期待したい。
*3 この論点については、拙稿「専業主婦が国民年金保険料を納める制度に変えると、低所得者が不利に!?」を参照。
(2025年11月11日「保険・年金フォーカス」)
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