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コラム
2025年11月11日

投資部門別売買動向(25年10月)~信託銀行が6カ月ぶりに買い越し~

金融研究部 研究員 森下 千鶴

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要旨

・日経平均株価は7カ月連続で上昇し、史上初の5万円台に到達。
・海外投資家は1兆3,235億円の買い越しで10月最大の買い越し部門。
・信託銀行は8,014億円の買い越しと6カ月ぶりに買い越し。
・事業法人は6,374億円の買い越しで53カ月連続の買い越し。
・個人は2,163億円の売り越しで8カ月連続の売り越し。
 

2025年10月の日経平均株価は7カ月連続で上昇し、史上初の5万円台に到達した。月初は米政府機関閉鎖への懸念から軟調に始まり、2日の終値は4万4,000円台だった。その後、米利下げ観測や円安進行を背景に上昇基調を強め、4日の自民党総裁選で高市氏が勝利すると期待感が株価を押し上げ、6日は4万7,944円と大きく上昇した。中旬は、公明党の連立離脱や米地銀の信用不安により一時下落したものの、自民党と日本維新の会の連立合意の見通しや生成AI関連株の上昇が支えとなり株価は再び上昇した。21日に高市新内閣が発足すると、積極財政への期待や米ハイテク株高を受けて上昇が加速し、27日には終値で5万512円と初の5万円台に到達し、月末は5万2,411円で取引を終えた。投資部門別では、海外投資家と信託銀行、事業法人が買い越し、個人は売り越した(図表1)。
図表1 主な投資部門別売買動向と日経平均株価の推移
2025年10月(9月29日~10月31日)の投資部門別の売買動向をみると、海外投資家が現物と先物の合計で1兆3,235億円の買い越しと、10月最大の買い越し部門であった(図表2)。週単位では、日経平均株価が約2,300円上昇した第2週(10月6日~10日)に1兆1,881億円と大幅に買い越した。一方、第5週(10月27日~31日)は現物と先物の合計で1,888億円の小幅売り越しとなった。第5週の日経平均株価は週初から5万円を突破し、週間で約3,100円上昇したが、海外投資家は先物を中心に利益確定の売りが優勢となった。
図表2 海外投資家は買い越し
10月は信託銀行も現物と先物の合計で8,014億円の買い越しとなった。指数が上昇するなか、信託銀行は5月から5カ月連続で売り越していたが、10月は指数が大幅上昇する局面で6カ月ぶりの買い越しに転じた(図表3)。
図表3 信託銀行は6カ月ぶりに買い越し
さらに、10月は事業法人も現物と先物の合計で6,374億円の買い越しとなった。自社株買いが継続的に行われるなか、事業法人は53カ月連続で買い越しとなった(図表4)。
図表4 事業法人は53カ月連続買い越し
一方、個人は現物と先物の合計で2,163億円の売り越しとなった(図表5)。主要な投資部門が買い越し株価が史上最高値を更新するなか、個人は利益確定売りが優勢となり8カ月連続の売り越しとなった。ただし、売り越し額は、当初は毎月1兆円を超えていたのに対し、9月・10月の売り越し額は約2,000億円と縮小しており、個人の積極的な売り姿勢は次第に和らいできたようだ。
図表5 個人は8カ月連続売り越し

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年11月11日「研究員の眼」)

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金融研究部   研究員

森下 千鶴 (もりした ちづる)

研究・専門分野
株式市場・資産運用

経歴
  • 【職歴】
     2006年 資産運用会社にトレーダーとして入社
     2015年 ニッセイ基礎研究所入社
     2020年4月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)

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