2021年01月19日

ベトナム保険市場(2019年度版)

保険研究部 常務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長 松澤 登

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■要旨

2020年に新型コロナ禍が発生するまで、ベトナムは堅調な経済成長を続けてきており、輸出入も好調であった。生命保険業も2019年度(1月―12月)は保有契約が収入保険料ベースで対前年比約31%増と大きく成長してきている。一方、保険浸透率(対GDP保険料収入)がいまだ1.77%と東アジア諸国の中でも低位にあり、より一層の市場拡大が期待できる。
 
1999年に初めて外資系生保会社が参入してのち、生保市場は外資が席巻している状況にある。民族系のBao Viet Lifeは引き続き保有契約について首位を維持したものの、新契約(収入保険料ベース)ではManulifeに首位を譲ることとなった。Bao Viet Lifeも親会社のBao Viet Holdingsと住友生命が資本提携するなど、外国生保との連携を図っている。
 
商品としては、投資連動型保険の販売が好調であり、新規加入の商品別シェア(収入保険料ベース)で、全体の7割を超えている。好調であった養老保険のシェアは1割強まで落ちてきており、投資性商品への販売集中が2019年度はより一層顕在化した。
 
販売チャネルとしては、個人エージェントが減少する一方で、法人代理店とその所属エージェントが増加してきている。また生命保険会社と銀行が提携する形でのバンカランシュも活発である。
 
ベトナムでは2020年の3月に日本の緊急事態宣言にあたる全社会隔離措置が発出され、新型コロナを抑え込んだ。7月に第2波が来たものの、これも同様の措置により感染を防止して経済を再開している。経済は成長ペースが減速しており、2020年度の生命保険事業の拡大も、その見通しは予断を許さないと思われる。

■目次

1――はじめに
2――保険市場の概況
3――新契約の状況
4――保有契約の状況
5――販売チャネル
6――おわりに
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保険研究部   常務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長

松澤 登 (まつざわ のぼる)

研究・専門分野
保険業法・保険法|企業法務

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