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2019年02月14日
EUソルベンシーIIにおけるLTG措置等の適用状況とその影響(5)-EIOPAの2018年報告書の概要報告-
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1―はじめに
これまでの4回のレポートでは、EIOPA(欧州保険年金監督局)が2018年12月18日に公表した「長期保証措置と株式リスク措置に関する報告書2018(Report on long-term guarantees measures and measures on equity risk 2018))」1に基づいて、EU(欧州連合)のソルベンシーIIにおける長期保証(Long-Term Guarantees:LTG)措置及び株式リスク措置に関しての保険会社の適用状況やその財務状況に及ぼす影響について、全体的な状況及び措置毎、国別、会社毎の状況の概要を報告した。さらに、EIOPAの報告書の第2のセクションに記載されているLTG措置や株式リスク措置が直接的に会社の財務状況に与える影響以外の項目のうちの保険契約者保護、保険会社の投資に与える影響について報告した。
今回のレポートでは、EIOPAの報告書の第2のセクションに記載されているLTG措置や株式リスク措置が直接的に会社の財務状況に与える影響以外の項目のうちの、消費者及び商品に与える影響について報告する2,3。
以下の章では、UFR(Ultimate Forward Rate:終局フォワードレート)の使用、MA(マッチング調整)、VA(ボラティリティ調整)、TRFR(リスクフリー金利に関する移行措置)、TTP(技術的準備金に関する移行措置)、ERP(ソルベンシー資本要件に準拠しない場合の回復期間の延長)、ED(又はSA)(株式リスクチャージの対称調整メカニズム)、DBER(デュレーションベースの株式リスクサブモジュール)といった8つのLTG措置及び株式リスク措置の中から、MA、VA、TRFR、TTPの4つの措置を中心に、これらが先に掲げたそれぞれの項目に与える影響についての分析結果を報告している。
1 News
https://eiopa.europa.eu/Pages/News/EIOPA-publishes-its-third-annual-analysis-on-the-use-and-impact-of-long-term-guarantees-measures-and-measures-on-equity-ris.aspx
報告書
https://eiopa.europa.eu/Publications/Reports/2018-12-18%20_LTG%20AnnualReport2018.pdf
2 前回のレポートで述べたように、以下の図表及び図表の数値は、特に断りが無い限り、EIOPAの「長期保証措置と株式リスクに対する措置に関する報告書2018」からの抜粋によるものであり、必要に応じて、筆者による分析数値を加えたり、表の項目の順番を変更する等の修正を行っている。
3 LTG措置や株式リスク措置の具体的説明については、「EUソルベンシーIIにおけるLTG措置等の適用状況とその影響(1)-EIOPAの2018年報告書の概要報告-」を参照していただきたい。
今回のレポートでは、EIOPAの報告書の第2のセクションに記載されているLTG措置や株式リスク措置が直接的に会社の財務状況に与える影響以外の項目のうちの、消費者及び商品に与える影響について報告する2,3。
以下の章では、UFR(Ultimate Forward Rate:終局フォワードレート)の使用、MA(マッチング調整)、VA(ボラティリティ調整)、TRFR(リスクフリー金利に関する移行措置)、TTP(技術的準備金に関する移行措置)、ERP(ソルベンシー資本要件に準拠しない場合の回復期間の延長)、ED(又はSA)(株式リスクチャージの対称調整メカニズム)、DBER(デュレーションベースの株式リスクサブモジュール)といった8つのLTG措置及び株式リスク措置の中から、MA、VA、TRFR、TTPの4つの措置を中心に、これらが先に掲げたそれぞれの項目に与える影響についての分析結果を報告している。
1 News
https://eiopa.europa.eu/Pages/News/EIOPA-publishes-its-third-annual-analysis-on-the-use-and-impact-of-long-term-guarantees-measures-and-measures-on-equity-ris.aspx
報告書
https://eiopa.europa.eu/Publications/Reports/2018-12-18%20_LTG%20AnnualReport2018.pdf
2 前回のレポートで述べたように、以下の図表及び図表の数値は、特に断りが無い限り、EIOPAの「長期保証措置と株式リスクに対する措置に関する報告書2018」からの抜粋によるものであり、必要に応じて、筆者による分析数値を加えたり、表の項目の順番を変更する等の修正を行っている。
3 LTG措置や株式リスク措置の具体的説明については、「EUソルベンシーIIにおけるLTG措置等の適用状況とその影響(1)-EIOPAの2018年報告書の概要報告-」を参照していただきたい。
2―LTG措置等による消費者及び商品への影響
1|調査概要
(1) 定量的及び定性的情報項目の収集
LTG(Long-Term Guarantee:長期保証)商品の大多数は生命保険契約である。昨年よりも詳細な分析を可能にするために、商品機能に関する会社への情報要求が行われた。これは、各欧州市場における代表的な会社を対象としていた。情報要求の目的は、既存のQRT(定量的報告テンプレート)データに商品の機能に関する詳細情報を追加することだった。
情報要求では、会社は定性的及び定量的の2つの情報項目が求められた。
1) 定量的情報
定量的部分では、QRT S.14.01に示されているように、全ての有効な商品について、以下の種類の保証のいずれかが存在するか否かが尋ねられた。これらの保証種類は、以前のLTG報告書で最も一般的な保証種類として識別されていた。
- 利率が契約で明示的に設定されている場合の保証利率
- 死亡時に保証された保証保険金額
- 死亡以外の何らかの理由で支払われる保証保険金額
- 解約返戻金保証
- 年金給付保証
- 保険料返還保証
2) 定性的情報
情報要求の2番目の部分では、商品に対して行った変更とそれらの変更の背後にある理由について定性的な質問を行った。この情報を補足するために、NSAs(National Supervisory Authorities:国家監督当局)は国内市場の概要を説明し、保証付商品の機能と傾向に関する具体的な質問に回答するよう求められた。
(1) 定量的及び定性的情報項目の収集
LTG(Long-Term Guarantee:長期保証)商品の大多数は生命保険契約である。昨年よりも詳細な分析を可能にするために、商品機能に関する会社への情報要求が行われた。これは、各欧州市場における代表的な会社を対象としていた。情報要求の目的は、既存のQRT(定量的報告テンプレート)データに商品の機能に関する詳細情報を追加することだった。
情報要求では、会社は定性的及び定量的の2つの情報項目が求められた。
1) 定量的情報
定量的部分では、QRT S.14.01に示されているように、全ての有効な商品について、以下の種類の保証のいずれかが存在するか否かが尋ねられた。これらの保証種類は、以前のLTG報告書で最も一般的な保証種類として識別されていた。
- 利率が契約で明示的に設定されている場合の保証利率
- 死亡時に保証された保証保険金額
- 死亡以外の何らかの理由で支払われる保証保険金額
- 解約返戻金保証
- 年金給付保証
- 保険料返還保証
2) 定性的情報
情報要求の2番目の部分では、商品に対して行った変更とそれらの変更の背後にある理由について定性的な質問を行った。この情報を補足するために、NSAs(National Supervisory Authorities:国家監督当局)は国内市場の概要を説明し、保証付商品の機能と傾向に関する具体的な質問に回答するよう求められた。
(3) 保険商品の3つのカテゴリーへの区分
NSAsによって示された最も一般的な保険種類は、3つの主要なカテゴリーに分けられた。
1つは「伝統的な生命保険貯蓄又は年金関連商品」で、これらは通常ソルベンシーIIの保険種類30(有配当保険)に表示されている。LTG情報の要求に回答した国のうち、13カ国がこれらのタイプの商品が自社市場で最も重要な商品の1つであると回答した。これらの契約の具体的な特徴は、国によって、そして個々の会社と商品提供によって異なるが、いくつかの一般的な特徴が観察されている。
これらの商品は一般的に長期的な性質のものであり、契約期間中保険契約者に保証された固定金利を提供する。多くの場合、これらの商品には、実際の投資収益に基づく利益分配の形で、保険契約者への追加分配の可能性が含まれている。これらの利益は通常、保険会社の裁量又は所定の計算式を使用して、そして利益が宣言されると保証されるようになることによって、共有される。これらの商品には通常、死亡した場合に保証される保証付保険金額が含まれている。
NSAsによって示された2番目の主要商品は、「ユニットリンク商品」であり、15のNSAs によってその市場の主要商品の1つとして言及されている。これらの商品には通常、保証はなく、投資に伴うリスクは保険契約者が負う。NSAsの大多数は、ランオフ(新契約引受け停止)している伝統的な商品よりもユニットリンク商品のますますの売上高の増加を観察していると指摘した。
NSAsによって示される最後の主な商品タイプは、「伝統的な生命保険保障商品」である(例:定期生命、養老保険、終身保険)。これらの商品は通常、契約期間中保険料が固定されており、死亡時又はその他の事由に応じて支払われる金額が保証されている。
以下の商品は、特定の国で重要な位置付けを有している。
- 変額年金(アイルランド)
- グループペンション(オランダ、フランス)
NSAsによって示された最も一般的な保険種類は、3つの主要なカテゴリーに分けられた。
1つは「伝統的な生命保険貯蓄又は年金関連商品」で、これらは通常ソルベンシーIIの保険種類30(有配当保険)に表示されている。LTG情報の要求に回答した国のうち、13カ国がこれらのタイプの商品が自社市場で最も重要な商品の1つであると回答した。これらの契約の具体的な特徴は、国によって、そして個々の会社と商品提供によって異なるが、いくつかの一般的な特徴が観察されている。
これらの商品は一般的に長期的な性質のものであり、契約期間中保険契約者に保証された固定金利を提供する。多くの場合、これらの商品には、実際の投資収益に基づく利益分配の形で、保険契約者への追加分配の可能性が含まれている。これらの利益は通常、保険会社の裁量又は所定の計算式を使用して、そして利益が宣言されると保証されるようになることによって、共有される。これらの商品には通常、死亡した場合に保証される保証付保険金額が含まれている。
NSAsによって示された2番目の主要商品は、「ユニットリンク商品」であり、15のNSAs によってその市場の主要商品の1つとして言及されている。これらの商品には通常、保証はなく、投資に伴うリスクは保険契約者が負う。NSAsの大多数は、ランオフ(新契約引受け停止)している伝統的な商品よりもユニットリンク商品のますますの売上高の増加を観察していると指摘した。
NSAsによって示される最後の主な商品タイプは、「伝統的な生命保険保障商品」である(例:定期生命、養老保険、終身保険)。これらの商品は通常、契約期間中保険料が固定されており、死亡時又はその他の事由に応じて支払われる金額が保証されている。
以下の商品は、特定の国で重要な位置付けを有している。
- 変額年金(アイルランド)
- グループペンション(オランダ、フランス)
2) 保証種類別の状況(商品種類別)
欧州全体では、商品の84%に少なくとも1つの保証が含まれている。最も一般的な保証の種類は、金利保証及び死亡時に支払われる保証保険金額である。全商品の57%が金利保証(金利保証がゼロの場合を含む)を受けており、全商品の49%が死亡時に保証された保証保険金額を支払う。なお、この報告書の目的のためには、金利保証を契約において明示されているものとして定義している。
以下の図表は、ソルベンシーIIの保険種類で区分して、保証を含む商品の割合を示している。
予想されるように、他の生命保険種類に比べて、インデックスリンク及びユニットリンク保険では保証はあまり一般的ではない。
欧州全体では、商品の84%に少なくとも1つの保証が含まれている。最も一般的な保証の種類は、金利保証及び死亡時に支払われる保証保険金額である。全商品の57%が金利保証(金利保証がゼロの場合を含む)を受けており、全商品の49%が死亡時に保証された保証保険金額を支払う。なお、この報告書の目的のためには、金利保証を契約において明示されているものとして定義している。
以下の図表は、ソルベンシーIIの保険種類で区分して、保証を含む商品の割合を示している。
予想されるように、他の生命保険種類に比べて、インデックスリンク及びユニットリンク保険では保証はあまり一般的ではない。
3) 保証種類別の普及状況(国別)
有配当保険は、殆どの欧州市場で最大の保証のソースとなっているが、この保険種類の中でも最も一般的な保証の状況は各国で異なっている。以下の分析では、「収入保険料でその保険種類内の商品の50%以上が保証されている場合に、市場で保証が一般的である」と定義している。
以下の図表は、有配当保険について、各市場でどの保証の種類が一般的であるかに関する詳細な情報を提供している。当該国においてその保証が一般的な場合に「Y」、そうでない場合に「N」と記載されている。
金利保証は殆どの国で一般的であるが、デンマーク、アイルランド、英国の3カ国では「N」となっている。一方で、フランスとスウェーデンでは、金利保証以外の保証が「N」となっている。金利保証、死亡保険金額保証、他の保険金額保証、解約返戻金保証の4つの保証が「Y」で、年金給付保証と保険料返還保証が「N」というパターンが最も多く、10カ国がこのパターンとなっている。
有配当保険は、殆どの欧州市場で最大の保証のソースとなっているが、この保険種類の中でも最も一般的な保証の状況は各国で異なっている。以下の分析では、「収入保険料でその保険種類内の商品の50%以上が保証されている場合に、市場で保証が一般的である」と定義している。
以下の図表は、有配当保険について、各市場でどの保証の種類が一般的であるかに関する詳細な情報を提供している。当該国においてその保証が一般的な場合に「Y」、そうでない場合に「N」と記載されている。
金利保証は殆どの国で一般的であるが、デンマーク、アイルランド、英国の3カ国では「N」となっている。一方で、フランスとスウェーデンでは、金利保証以外の保証が「N」となっている。金利保証、死亡保険金額保証、他の保険金額保証、解約返戻金保証の4つの保証が「Y」で、年金給付保証と保険料返還保証が「N」というパターンが最も多く、10カ国がこのパターンとなっている。
(2019年02月14日「保険・年金フォーカス」)
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中村 亮一のレポート
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【EUソルベンシーIIにおけるLTG措置等の適用状況とその影響(5)-EIOPAの2018年報告書の概要報告-】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
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