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2018年11月02日
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3.金融市場(10月)の振り返りと当面の予想
(10年国債利回り)
10月の動き 月初0.1%台前半でスタートし、月末も0.1%台前半に。
月初、日銀による国債買入れ減額観測や米金利上昇を受けて上昇し、4日に0.15%の節目を突破、マイナス金利導入後の最高水準を付けた。その後、世界的に株価が急落したことで金利低下圧力がかかったが、米金利の先高感などからしばらく0.1%台半ば付近での推移が継続。下旬に入ると、世界的に株価がさらに下落し、米金利がやや低下したことを受けて、0.1%台前半に低下。月末にかけて0.1をやや上回る水準での推移となった。
当面の予想
今月に入り、株安は一服したものの、好調な国債入札結果を受けて上昇が抑えられ、足元も0.1%台前半で推移している。目先は株安への警戒感が残り、安全資産としての国債需要が金利の抑制に働くものの、次第に警戒感が薄れていくことで金利に持ち直しの余地が生まれてくる。引き続き日銀が国債買入れの減額を続ける姿勢を維持していることも金利上昇要因となるため、長期金利は0.1%台半ばから後半へと上昇していくことが見込まれる。
10月の動き 月初0.1%台前半でスタートし、月末も0.1%台前半に。
月初、日銀による国債買入れ減額観測や米金利上昇を受けて上昇し、4日に0.15%の節目を突破、マイナス金利導入後の最高水準を付けた。その後、世界的に株価が急落したことで金利低下圧力がかかったが、米金利の先高感などからしばらく0.1%台半ば付近での推移が継続。下旬に入ると、世界的に株価がさらに下落し、米金利がやや低下したことを受けて、0.1%台前半に低下。月末にかけて0.1をやや上回る水準での推移となった。
当面の予想
今月に入り、株安は一服したものの、好調な国債入札結果を受けて上昇が抑えられ、足元も0.1%台前半で推移している。目先は株安への警戒感が残り、安全資産としての国債需要が金利の抑制に働くものの、次第に警戒感が薄れていくことで金利に持ち直しの余地が生まれてくる。引き続き日銀が国債買入れの減額を続ける姿勢を維持していることも金利上昇要因となるため、長期金利は0.1%台半ばから後半へと上昇していくことが見込まれる。
(ドル円レート)
10月の動き 月初113円台後半でスタートし、月末は113円台前半に。
月初、好調な米経済指標を受けた米金利上昇によってドル高が進み、4日には114円台前半に達したが、米中摩擦や米為替報告書への警戒から9日には113円付近に下落。その後、米金利上昇や貿易摩擦への懸念から世界的に株価が下落、リスク回避の円買いが発生したことで、11日には112円台前半に。さらに、米財務長官が日米交渉で為替条項を要求するとの報道を受けて、16日には112円を割り込んだ。しかし、翌17日には株安の一服により112円台を回復。以降もリスク回避的な地合いが続いたものの、景気が好調な米国のドルも買われたことでドル円は膠着ぎみとなり、112円台での推移が継続。月末は好調な米指標や株高を受けて円安が進み、113円台前半で終了した。
当面の予想
今月に入り、低調な米経済指標や欧州通貨の持ち直しを受けてドルがやや下落したが、米中貿易摩擦緩和期待で持ち直し、足元は113円台前半で推移している。目先は米金利上昇などを通じた株安への警戒感が残るものの、米国の堅調なファンダメンタルズなどを背景に、次第に警戒感は後退するだろう。そうなれば、米金利上昇が素直にドル高に繋がりやすくなる。月末時点で114円前後への持ち直しを予想している。なお、米中間選挙で民主党が下院の過半数を獲得した場合は、政権の政策運営能力低下から一旦はドル安反応が予想されるが、概ね織り込み済みであることから、一時的な反応に留まるだろう。
10月の動き 月初113円台後半でスタートし、月末は113円台前半に。
月初、好調な米経済指標を受けた米金利上昇によってドル高が進み、4日には114円台前半に達したが、米中摩擦や米為替報告書への警戒から9日には113円付近に下落。その後、米金利上昇や貿易摩擦への懸念から世界的に株価が下落、リスク回避の円買いが発生したことで、11日には112円台前半に。さらに、米財務長官が日米交渉で為替条項を要求するとの報道を受けて、16日には112円を割り込んだ。しかし、翌17日には株安の一服により112円台を回復。以降もリスク回避的な地合いが続いたものの、景気が好調な米国のドルも買われたことでドル円は膠着ぎみとなり、112円台での推移が継続。月末は好調な米指標や株高を受けて円安が進み、113円台前半で終了した。
当面の予想
今月に入り、低調な米経済指標や欧州通貨の持ち直しを受けてドルがやや下落したが、米中貿易摩擦緩和期待で持ち直し、足元は113円台前半で推移している。目先は米金利上昇などを通じた株安への警戒感が残るものの、米国の堅調なファンダメンタルズなどを背景に、次第に警戒感は後退するだろう。そうなれば、米金利上昇が素直にドル高に繋がりやすくなる。月末時点で114円前後への持ち直しを予想している。なお、米中間選挙で民主党が下院の過半数を獲得した場合は、政権の政策運営能力低下から一旦はドル安反応が予想されるが、概ね織り込み済みであることから、一時的な反応に留まるだろう。
(ユーロドルレート)
10月の動き 月初1.16ドル台前半でスタートし、月末は1.13ドル台半ばに。
月初から、イタリア財政への懸念台頭や米金利上昇を受けてユーロ安ドル高が進み、9日に1.14ドル台前半を付ける。その後、米金利上昇の一服や英国のEU離脱交渉進展への期待で反転し、10日に1.15ドルを回復、しばらく1.15ドル台での推移が継続した。しかし、イタリア財政への懸念がさらに高まったことで19日に再び1.15ドルを割り込み、さらにユーロ圏経済指標の悪化を受けて、24日には1.13ドル台後半に下落。月終盤もメルケル独首相の与党党首辞任意向などから低迷が続き、月末は1.13ドル台前半で終了した。
当面の予想
今月に入り、低調な米経済指標の発表や英国のEU離脱交渉の合意期待の高まりによってユーロが買われ、足元は1.14ドル台前半に上昇している。ただし、イタリアの財政問題は解決のメドが立っておらず、今後もユーロの上値を抑える。堅調な米経済を背景とする米金利の上昇がドル高に働くこともユーロドルの重石となるだろう。当面のユーロドルはやや弱含みと予想している。なお、もし英国のEU離脱交渉が早期に合意に至れば一時的にユーロ買い材料となるが、ユーロを継続的に買う材料にはならず、賞味期限は短いと見ている。
10月の動き 月初1.16ドル台前半でスタートし、月末は1.13ドル台半ばに。
月初から、イタリア財政への懸念台頭や米金利上昇を受けてユーロ安ドル高が進み、9日に1.14ドル台前半を付ける。その後、米金利上昇の一服や英国のEU離脱交渉進展への期待で反転し、10日に1.15ドルを回復、しばらく1.15ドル台での推移が継続した。しかし、イタリア財政への懸念がさらに高まったことで19日に再び1.15ドルを割り込み、さらにユーロ圏経済指標の悪化を受けて、24日には1.13ドル台後半に下落。月終盤もメルケル独首相の与党党首辞任意向などから低迷が続き、月末は1.13ドル台前半で終了した。
当面の予想
今月に入り、低調な米経済指標の発表や英国のEU離脱交渉の合意期待の高まりによってユーロが買われ、足元は1.14ドル台前半に上昇している。ただし、イタリアの財政問題は解決のメドが立っておらず、今後もユーロの上値を抑える。堅調な米経済を背景とする米金利の上昇がドル高に働くこともユーロドルの重石となるだろう。当面のユーロドルはやや弱含みと予想している。なお、もし英国のEU離脱交渉が早期に合意に至れば一時的にユーロ買い材料となるが、ユーロを継続的に買う材料にはならず、賞味期限は短いと見ている。
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(2018年11月02日「Weekly エコノミスト・レター」)
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03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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