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- 縮小するアルコール市場、その活路は?-男性の「アルコール離れ」、40代以上の女性は若者より飲む、飲まない若者でも職場の飲み会は重視~消費者の今を知る
縮小するアルコール市場、その活路は?-男性の「アルコール離れ」、40代以上の女性は若者より飲む、飲まない若者でも職場の飲み会は重視~消費者の今を知る

生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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- 日本のアルコール市場は1996年をピークに縮小傾向にあり、アルコール消費の内訳も変容している。かつてはビールが大半だったが、税率の高さからメーカーが手がける商品がビールテイスト飲料にうつり、消費者でも「とりあえずビール」ではなく、若者を中心に一杯目からそれぞれ好きなものを頼むことも増えたことで多様化している。
- アルコール市場縮小には若者の「アルコール離れ」の影響もあるが、男性の「アルコール離れ」の影響が大きい。飲酒量の多い現役世代の男性で飲酒習慣率が低下している。また、少子高齢化で現役世代の人口が減り、飲まない高齢人口が増えた影響もある。
- 女性では40代以上の飲酒習慣率は上昇しており、40~50代の女性は20代の男性よりも飲酒習慣率が高い。女性の社会進出とともに、女性が好むようなチューハイやカクテルなどの商品に加えて、都市部では女性でも立ち寄りやすい立ち飲みバーなどが充実してきた影響と考えられる。
- アルコール市場の活路は40代以上の女性に加えて、実は若者にもある。新入社員では友人からの誘いよりも職場の飲み会を優先する志向が高まっている。「昔ながらの飲みニュケーション」とは異なるかもしれないが、飲み会という名のコミュニケーションの場を作ることがアルコール市場の活路につながるのではないだろうか。
■目次
1――アルコール市場の縮小と多様化
~「とりあえずビール」からそれぞれ好きなものへ、税率の影響も
2――アルコール市場の縮小要因
~男性や若者の「アルコール離れ」、飲む量の減る高齢者の増加
3――「アルコール離れ」の背景
~健康志向の高まりと会合の減少、若者は飲酒以外の楽しみとリスク回避
4――40代以上の女性で高まる飲酒習慣率
~女性の社会進出で女性好みの味や店が増えた?
5――アルコール市場の活路
~飲まないけれど若者の職場の飲み会重視志向は高まっている
(2018年07月31日「基礎研レター」)

03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
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