2018年05月29日

中国における三大死因とは?-4人に1人が「がん」で死亡

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 片山 ゆき

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■要旨
 
  • 中国における三大死因(都市部)は、悪性新生物(がん)、心疾患、脳血管疾患であった。SARSの影響と推測される2002~2003年を除き、この15年間は死因の3項目に変化はない(順位の変更はあり)。加えて、三大死因のみで死亡数全体のおよそ7割を占めている。
     
  • 中国では、不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒などの生活習慣の改善により予防可能な疾患の死亡割合が、高所得国並みの80%に達している 。生活習慣に加えて環境汚染も大きな影響を与えていると考えられ、およそ4人に1人はがんで死亡している状態にある。
     
  • がんにおいて死亡数が最も多い3部位は、肺、肝臓、胃であった。
    肺がんについては、中国では男性の喫煙率が52.1%と高く、女性は2.7%と低いが、たばこを吸わない女性の7割が受動喫煙に晒されている状態にある。また、男女とも喫煙(受動喫煙)、食事・飲酒、環境汚染などが危険因子と考えられる肺や消化器系の部位が上位を占めた。
     
  • 中国のがん5年生存率は日本のほぼ半分の30.9%であった。死亡率の高い、肺、肝臓、胃、食道とも日本の半分以下となっている。一方、女性の罹患率が高い乳腺、甲状腺では、5年生存率が日本、中国とも相対的に高かった。

■目次

1――中国における三大死因は、悪性新生物(がん)、心疾患、脳血管疾患
2――都市部で、男性の29%、女性の23%が「がん」で死亡
3――がんにおいて死亡数・罹患数が最も多い部位は、「肺」
4――がん5年生存率は30.9%と低い
5――「健康中国2030」―2030年までに、がんの5年生存率を15ポイント引き上げへ
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保険研究部   主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任

片山 ゆき (かたやま ゆき)

研究・専門分野
中国の社会保障制度・民間保険

経歴
  • 【職歴】
     2005年 ニッセイ基礎研究所(2022年7月より現職)
     (2023年 東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程修了) 【社外委員等】
     ・日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
     (2019年度・2020年度・2023年度)
     ・生命保険経営学会 編集委員・海外ニュース委員
     ・千葉大学客員准教授(2023年度~) 【加入団体等】
     日本保険学会、社会政策学会、他
     博士(学術)

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