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- 米国経済の見通し-足元の経済は好調も、18年に入り、資本市場不安定化、保護主義政策などの不安要素が浮上
2018年03月09日
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■要旨
- 米国の10-12月期成長率(前期比年率)は+2.5%(前期:+3.2%)と、前期から伸びが鈍化したものの、外需及び在庫投資の押下げが大きく、それらを除いた国内最終需要は+4.3%(前期:+1.9%)と米国経済の基調は強い。とくに個人消費が年末商戦の好調もあって+3.8%(前期:+2.2%)と前期から伸びが加速し、成長を牽引した。
- 一方、18年入り後は2月上旬の好調な雇用統計の結果を受けて長期金利が上昇、株価が大幅に下落するなど資本市場が不安定化した。さらに、トランプ大統領が鉄鋼及びアルミ製品に対する輸入制限措置を決定したことから、今後も保護主義的な通商政策が拡がる可能性があり、米国および世界経済への影響が懸念されている。
- これらの不安要素はあるものの、当研究所は問題が深刻化しない前提で成長率(前年比)は17年の+2.3%に対して18年が+2.7%、19年が+2.5%と17年からの成長加速を予想する。17年に続き労働市場の回復を背景に消費主導の景気回復が持続する中、18年から実施される減税を中心とする税制改革が景気を後押しするほか、2月に決定した18~19年度の歳出上限引き上げに伴う財政支出の拡大も成長に寄与する見込みである。
- 金融政策は、パウエル新議長の下で金融政策の正常化が持続され、18年は年4回の政策金利引き上げを予想。ただし、資本市場の不安定な状況が長期化する場合には利上げペースに影響する可能性。
- 米経済に対するリスクは、資本市場の不安定な状況が長期化することや、北朝鮮をはじめとする地政学リスクに加え、米国内政治の混乱である。引き続きトランプ大統領が最大のリスクと言えよう。
■目次
1.経済概況・見通し
・(経済概況)10‐12月期の成長率は前期から伸びが鈍化も、米経済の基調は強い
・(経済見通し)成長率は18年+2.7%、19年+2.5%を予想
2.実体経済の動向
・(労働市場)労働需給のタイト化が持続。漸く賃金上昇率に加速の兆し
・(設備投資)17年以降、堅調な伸びが持続。
法人税制改革もあって設備投資には上振れ余地
・(住宅投資)住宅需要の堅調さを反映し、住宅投資の回復は持続
・(政府支出、債務残高)減税に加え、拡張的な財政政策は景気を下支え
・(貿易)輸入の増加が顕著。懸念される保護主義政策の強まり
3.物価・金融政策・長期金利の動向
・(物価)コアインフレ率の底打ち、エネルギー価格上昇から総合指数は緩やかに上昇
・(金融政策)18年は年4回の利上げを予想。今後の人選にも注目
・(長期金利)19年にかけて3%台前半に上昇を予想
1.経済概況・見通し
・(経済概況)10‐12月期の成長率は前期から伸びが鈍化も、米経済の基調は強い
・(経済見通し)成長率は18年+2.7%、19年+2.5%を予想
2.実体経済の動向
・(労働市場)労働需給のタイト化が持続。漸く賃金上昇率に加速の兆し
・(設備投資)17年以降、堅調な伸びが持続。
法人税制改革もあって設備投資には上振れ余地
・(住宅投資)住宅需要の堅調さを反映し、住宅投資の回復は持続
・(政府支出、債務残高)減税に加え、拡張的な財政政策は景気を下支え
・(貿易)輸入の増加が顕著。懸念される保護主義政策の強まり
3.物価・金融政策・長期金利の動向
・(物価)コアインフレ率の底打ち、エネルギー価格上昇から総合指数は緩やかに上昇
・(金融政策)18年は年4回の利上げを予想。今後の人選にも注目
・(長期金利)19年にかけて3%台前半に上昇を予想
(2018年03月09日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
窪谷 浩のレポート
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