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- 最近の人民元と今後の展開(2016年6月号) ~英EU残留なら元安波乱も
- 5月の人民元相場(対米ドル)は基準値・市場実勢ともに下落した。米国で早期利上げ観測が再浮上したことから、人民元は米ドルに対してじりじりと下落する展開となった。
- 人民元と他通貨が変化方向の面で同調する傾向は5月も続いた。中国人民銀行は、バスケット構成通貨に対する安定を重視しており、ユーロや日本円などの対米ドルレートの動きを参考にした為替レート調整を継続している。2月までとは値動きに明らかな相違が見られる。
- 6月の人民元(市場実勢)は、これまでのボックス圏(1米ドル=6.4~6.6元)を維持する可能性が高いものの、ボックス圏を下に抜けるリスクも否定できず、波乱含みである。
[ 5月の動き ]
また、人民元と他通貨が変化方向の面で同調する傾向は5月も続いた。中国人民銀行は、バスケット構成通貨に対する安定を重視しており、構成通貨の中でシェアの大きいユーロや日本円などの対米ドルレートの動きを参考にした為替レート調整を継続している。図表-4に示したように変動性(ボラティリティ)こそユーロや日本円よりも小さいものの、変化の方向性はユーロや日本円と同調するようになってきており、2月までとそれ以降では値動きに明らかな相違が見られる。
[ 今後の展開 ]
米雇用統計がコンセンサス並みの結果となり、英国民投票の結果を見極めるため米利上げが見送られることになれば、人民元はボックス圏を維持する可能性が高い。仮に英国のEU離脱が決まっても、英ポンドは米ドルに対して下落しそうだが、ユーロがどう動くかは読みきれず、相対的に影響の小さい日本円は逆に上昇しそうなことから、人民元は上下どちらにも動きづらい。
また、米雇用統計がコンセンサスを上回る好結果となり、英国のEU残留が決まり不透明感が払拭されることになれば、市場は「米利上げが今後も定期的(四半期に1度)に実施される」との見方を強めて、6月下旬にはそれを織り込みに行くだろう。他方、中国では過剰設備・過剰債務の整理で景気回復が遅れるため、利上げは当面視野に入らない。従って、米中金利差は大幅に縮小する方向となり人民元は下落し易くなるため、6月下旬以降には元安波乱の可能性がある。
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三尾 幸吉郎
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(2016年06月02日「経済・金融フラッシュ」)
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