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- 消費者物価(全国15年2月)~コアCPI上昇率(消費税の影響を除く)は1年9ヵ月ぶりのゼロ%
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■見出し
・コアCPI上昇率(消費税の影響を除く)は13年5月以来のゼロ%
・コアCPIのマイナス転化は5月が有力
■要旨
総務省が3月27日に公表した消費者物価指数によると、15年2月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比2.0%(1月:同2.2%)となり、上昇率は前月から0.2ポイント縮小した。コアCPIを消費税の影響を除くベースでみると、14年4月は消費税率引き上げ分以上の値上げが行われたこともあり、前年比1.5%まで上昇率が高まったが、その後は鈍化傾向が続き、13年5月以来、1年9ヵ月ぶりの前年比0.0%となった。
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲0.47%(1月:▲0.32%)、食料(生鮮食品を除く)が0.25%(1月:0.23%)、その他が0.21%(1月:0.28%)であった(当研究所試算による消費税の影響を除くベース)。
コアCPI上昇率は原油価格下落に伴い一本調子で低下を続け、15年2月には前年比0.0%(消費税の影響を除く)となったが、3月は原油価格の持ち直しに伴いガソリン、灯油の下落幅が縮小することから再びプラスとなることが見込まれる。
燃料費調整が市場価格に遅れて反映される電気代、ガス代は前年比で上昇を続けており、電気代は5月から再生可能エネルギー促進賦課金の上乗せにより押し上げられる。ただし、電気代の燃料費調整単価は4月から低下しており、ガス代も5月からは値下げされる公算が大きい。ガス代は5月、電気代は6月に前年比でマイナスに転じると予想する。
コアCPI上昇率低下の主因は原油価格下落に伴うエネルギー価格の低下だが、原油価格の影響を直接受けない品目についても伸び率は鈍化傾向にある。食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合(いわゆるコアコアCPI)は14年4月には前年比0.8%(消費税の影響を除く)まで伸びを高めたが、15年2月には同0.3%まで上昇率が縮小している。消費増税後の景気減速に伴う需給の悪化によって企業が値上げをしにくい状況となっている可能性が高い。
食料品を中心に円安によるコスト増を価格転嫁する動きが一部に見られるものの、エネルギー価格下落の影響がそれを大きく上回っており、需給要因による物価押し上げも当面期待できない。今後の為替、原油価格の動向にもよるが、現時点ではコアCPI上昇率がマイナスに転じる可能性が高いのは15年5月と予想している。
(2015年03月27日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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