2014年09月01日

法人企業統計14年4-6月期~消費増税の影響から、利益、設備ともに改善が一服

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・消費増税の影響で増益率が大きく鈍化
・設備投資の伸びが大きく低下
・4-6月期・GDP2次速報は下方修正を予想

■要旨

財務省が9月1日に公表した法人企業統計によると、14年4-6月期の全産業(金融業、保険業を除く、以下同じ)の経常利益は前年比4.5%(14年1-3月期:同20.2%)と10四半期連続の増加となったが、増益率は1-3月期の同20.2%から大きく鈍化した。
非製造業は前年比12.1%(1-3月期:同28.2%)と5四半期連続で二桁の伸びを維持したが、製造業が前年比▲7.6%(1-3月期:同5.4%)と7四半期ぶりに減益となった。
季節調整済の経常利益は前期比▲3.2%と過去最高を更新した1-3月期からは若干悪化したが、リーマン・ショック前のピークを上回っており、高水準を維持している。特に今回の景気回復が個人消費を中心とした国内需要が牽引役となっていたことを反映し、非製造業の利益水準が高い。一方、製造業は大幅な円安にもかかわらず輸出が低迷していることからリーマン・ショック前の過去最高を更新することなく水準を大きく切り下げてしまった。

季節調整済の設備投資(ソフトウェアを除く)は前期比▲1.8%(1-3月期:同2.8%)と3四半期ぶりの減少となった。非製造業は前期比0.9%(1-3月期:同1.2%)と増加を維持したが、製造業が前期比▲7.1%(1-3月期:同6.0%)と大きく落ち込んだことが響いた。
4-6月期の設備投資の減少は、ウィンドウズXPのサポート終了に伴う更新需要などから1-3月期が高い伸びになった反動による部分が大きい。1-3月期の増加幅に比べ4-6月期の落ち込みが小さいこと、企業収益が高水準を維持していること、日銀短観や日本政策投資銀行の14年度設備投資計画が高めの伸びとなっていることなどからすれば、設備投資の回復基調は維持されていると判断される。GDP統計の設備投資は14年4-6月期に5四半期ぶりに前期比で減少したが、7-9月期は増加に転じる可能性が高いだろう。
本来、消費増税は国内需要のウェイトが高い非製造業のほうが悪影響を強く受けるはずであるが、今回は製造業の悪化がより顕著となっている。非製造業の底堅さとともに、海外生産移転の影響もあって国内の製造業の脆弱さが改めて浮き彫りとなった。

本日の法人企業統計の結果等を受けて、9/8公表予定の14年4-6月期GDP2次速報では、設備投資が前期比▲2.5%から同▲3.6%へと下方修正されることなどから、実質GDPが1次速報の前期比▲1.7%(年率▲6.8%)から前期比▲1.9%(年率▲7.2%)へと下方修正されると予測する。

(2014年09月01日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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