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- 家計調査14年7月~駆け込み需要の反動の影響縮小後も個人消費は低迷
■見出し
・実質消費支出の減少幅が再び拡大
・実質所得の減少による個人消費の低迷が長引く恐れも
■要旨
総務省が8月29日に公表した家計調査によると、14年7月の実質消費支出は前年比▲5.9%(6月:同▲3.0%)となった。減少幅は6月の同▲3.0%から大きく拡大した。月々の振れが大きい住居、自動車などを除いた実質消費支出(除く住居等)も前年比▲6.3%(6月:同▲3.7%)と減少幅が前月から拡大した。
財・サービス区分別には、駆け込み需要が大きかった耐久財の減少幅が大きく縮小する(6月:前年比▲16.4%→7月:同▲1.0%)一方、駆け込み需要と反動の影響が比較的小さい半耐久財(6月:前年比▲1.6%→7月:同▲7.4%)、非耐久財(6月:前年比▲4.0%→7月:同▲5.8%)の減少幅が拡大し、駆け込み需要がほとんど見られなかったサービスが外食、旅行の減少などから6月の前年比1.7%から同▲5.0%と減少に転じた。このことは、個人消費の減少の主因が消費増税直後の駆け込み需要の反動からそれ以外の要因に変わっていることを示している。
実質消費水準指数(除く住居等、季節調整値)は14年4月に前月比▲14.2%、5月に同▲1.1%と落ち込んだ後、6月には同3.5%と持ち直したが、7月は同▲3.4%となり、5月の水準に逆戻りした。消費税率引き上げ後の4月、5月に水準を大きく切り下げた後、6月に持ち直すところまでは前回の消費増税時(97年度)と同様だったが、今回は夏場に入り腰折れする形となってしまった。
7月の消費関連統計は駆け込み需要の反動の影響が和らいでいるにもかかわらず、個人消費の低迷が続いていることを示すものとなった。
この背景には名目賃金は緩やかに増加しているものの、消費税率引き上げによって物価上昇率が大きく高まったため、実質所得が大きく目減りしてしまっていることがある。毎月勤労統計によれば、多くの企業でボーナス支給月に当たる6月の特別給与は前年比2.0%となり、同月の現金給与総額の押し上げに一定の寄与はしたものの、事前に発表されていた大企業を中心とした各種アンケート調査で示されていた結果に比べるとやや物足りないものとなった。
夏のボーナスは7月に支給される企業も多いため、9/2公表予定の7月の毎月勤労統計では特別給与の伸びが高まる可能性もあるが、仮に期待外れに終わった場合には、実質所得の減少を主因とした個人消費の低迷が長引く可能性が高まるだろう。
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