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- 貿易統計13年12月~貿易赤字の拡大続く、10-12月期の外需寄与度は前期比▲0.5%程度のマイナスへ
2014年01月27日
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■見出し
・貿易赤字は拡大傾向が続く
・貿易収支は3年で18.1兆円の悪化
・10-12月期の外需寄与度は前期比▲0.5%程度のマイナスへ
■要旨
財務省が1月27日に公表した貿易統計によると、13年12月の貿易収支は▲13,021億円と18ヵ月連続の赤字となった。円安の影響から輸出入ともに高い伸びとなったが、輸入が前年比24.7%と11月の同21.1%から伸びを高める一方、輸出の伸びが鈍化(11月:前年比18.4%→12月:同15.3%)したため、貿易赤字は前年からほぼ倍増となった。
季節調整済の貿易収支は▲11,486億円の赤字となり、11月の▲12,938億円からは赤字幅が縮小した。輸出が前月比1.7%(11月:同0.5%)と3ヵ月連続の増加となる一方、輸入が前月比▲0.6%(11月:同3.5%)と6ヵ月ぶりに減少した。貿易赤字は単月では若干縮小したが、四半期ベースでは13年4-6月期の▲8.9兆円(季節調整済・年率換算値)から、7-9月期が▲11.6兆円、10-12月期が▲14.1兆円と拡大傾向が続いている。先行きについては、輸出は持ち直すものの、消費税率引き上げ前の駆け込み需要を主因として輸入は高めの伸びが続くことが見込まれるため、13年度末にかけて高水準の貿易赤字が続く可能性が高い。
貿易収支は東日本大震災発生前の10年(6.6兆円)から13年(▲11.5兆円)にかけて▲18.1兆円悪化した。輸出の増加が2.4兆円にとどまる一方、輸入が20.5兆円の大幅増加となったためである。このうち、輸出は価格上昇分の9.1兆円を数量減少分の▲6.8兆円が打ち消す形となり、輸入は数量増(▲3.5兆円)、価格上昇(▲16.9兆円)がともに貿易収支を悪化させる方向に働いた。なお、鉱物性燃料の輸入数量の伸びは11~13年の平均で2.2%(輸入数量全体は1.8%)、これによる貿易収支の悪化は▲1.5 兆円で、全体(▲18.1兆円)の1 割にも満たない。
12月までの貿易統計と11月までの国際収支統計の結果を踏まえて、10-12月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比1%弱の増加、輸入が前期比4%台程度の増加となることが見込まれる。この結果、10-12月期の外需寄与度は前期比▲0.5%(7-9月期:同▲0.5%)と2四半期連続のマイナスとなることが予想される。現時点では、外需は成長率の押し下げ要因となるものの、国内需要は個人消費、住宅投資、設備投資、公的固定資本形成がいずれも高めの伸びとなることから、実質GDP成長率は前期比年率2%台後半となり、7-9月期の同1.1%から成長ペースが加速すると予想している。
・貿易赤字は拡大傾向が続く
・貿易収支は3年で18.1兆円の悪化
・10-12月期の外需寄与度は前期比▲0.5%程度のマイナスへ
■要旨
財務省が1月27日に公表した貿易統計によると、13年12月の貿易収支は▲13,021億円と18ヵ月連続の赤字となった。円安の影響から輸出入ともに高い伸びとなったが、輸入が前年比24.7%と11月の同21.1%から伸びを高める一方、輸出の伸びが鈍化(11月:前年比18.4%→12月:同15.3%)したため、貿易赤字は前年からほぼ倍増となった。
季節調整済の貿易収支は▲11,486億円の赤字となり、11月の▲12,938億円からは赤字幅が縮小した。輸出が前月比1.7%(11月:同0.5%)と3ヵ月連続の増加となる一方、輸入が前月比▲0.6%(11月:同3.5%)と6ヵ月ぶりに減少した。貿易赤字は単月では若干縮小したが、四半期ベースでは13年4-6月期の▲8.9兆円(季節調整済・年率換算値)から、7-9月期が▲11.6兆円、10-12月期が▲14.1兆円と拡大傾向が続いている。先行きについては、輸出は持ち直すものの、消費税率引き上げ前の駆け込み需要を主因として輸入は高めの伸びが続くことが見込まれるため、13年度末にかけて高水準の貿易赤字が続く可能性が高い。
貿易収支は東日本大震災発生前の10年(6.6兆円)から13年(▲11.5兆円)にかけて▲18.1兆円悪化した。輸出の増加が2.4兆円にとどまる一方、輸入が20.5兆円の大幅増加となったためである。このうち、輸出は価格上昇分の9.1兆円を数量減少分の▲6.8兆円が打ち消す形となり、輸入は数量増(▲3.5兆円)、価格上昇(▲16.9兆円)がともに貿易収支を悪化させる方向に働いた。なお、鉱物性燃料の輸入数量の伸びは11~13年の平均で2.2%(輸入数量全体は1.8%)、これによる貿易収支の悪化は▲1.5 兆円で、全体(▲18.1兆円)の1 割にも満たない。
12月までの貿易統計と11月までの国際収支統計の結果を踏まえて、10-12月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比1%弱の増加、輸入が前期比4%台程度の増加となることが見込まれる。この結果、10-12月期の外需寄与度は前期比▲0.5%(7-9月期:同▲0.5%)と2四半期連続のマイナスとなることが予想される。現時点では、外需は成長率の押し下げ要因となるものの、国内需要は個人消費、住宅投資、設備投資、公的固定資本形成がいずれも高めの伸びとなることから、実質GDP成長率は前期比年率2%台後半となり、7-9月期の同1.1%から成長ペースが加速すると予想している。
(2014年01月27日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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