2013年06月28日

消費者物価(全国13年5月)~コアCPI上昇率は6月以降プラスへ

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し


・コアCPIは7ヵ月ぶりにマイナス圏を脱す
・物価下落品目数の割合は11ヵ月連続で50%を上回る
・コアCPI上昇率は6月以降プラスへ

■introduction

総務省が6月28日に公表した消費者物価指数によると、13年5月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比0.0%(4月:同▲0.4%)となり、7ヵ月ぶりにマイナス圏を脱した。
コアCPIの内訳をみると、ガソリン(4月:前年比▲2.0%→5月:同▲0.9%)の下落幅が縮小し、電気代(4月:前年比4.2%→5月:同8.8%)、ガス代(4月:前年比1.4%→5月:同2.1%)、灯油(4月:前年比0.5%→5月:同0.9%)の上昇幅が拡大したため、エネルギー価格の上昇率は4月の前年比1.3%から同3.7%へと高まった。
また、テレビ(4月:前年比▲16.4%→5月:同▲9.6%)、ビデオレコーダー(4月:前年比▲33.7%→5月:同▲22.2%)、パソコン(デスクトップ型)(4月:前年比5.8%→5月:同12.0%)の上昇幅拡大などから、教養娯楽用耐久財の下落幅が4月の前年比▲12.8%から同▲7.1%へと縮小したことがコアCPIを0.1ポイント程度押し上げた。
なお、テレビは5月の東京都区部では前月比14.5%の急上昇となっていたが、全国では前月比1.5%の小幅な上昇にとどまり、前年比では大幅な下落が続く形となった。
コアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が0.33%(4月は0.12%)、食料品(生鮮食品を除く)が▲0.09%(4月は▲0.13%)、その他が▲0.24%(4月は▲0.39%)であった。
13年6月の東京都区部のコアCPIは前年比0.2%(5月:同0.1%)となり、上昇率は前月から0.1ポイント拡大した。電気代、ガス代、灯油の上昇幅が拡大し、ガソリン(5月:前年比▲0.5%→6月:同6.5%)が4ヵ月ぶりのプラスとなったことから、エネルギー価格の上昇率が5月の前年比8.3%から10.6%へと拡大したことが、コアCPIを0.1ポイント強押し上げた。一方、5月の前年比0.9%とプラスに転じたテレビは前年比▲9.0%と再び下落に転じた。
東京都区部のコアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が0.63%(5月は0.49%)、食料品(生鮮食品を除く)が▲0.15%(5月は▲0.17%)、その他が▲0.28%(5月は▲0.22%)であった。
6月の東京都区部の結果をもとにすると、6月の全国のコアCPI上昇率はエネルギー価格の上昇幅拡大を主因として1年2ヵ月ぶりにプラスに転じることがほぼ確実とみられる。その後は、景気回復持続に伴う需給バランスの改善、円安の影響が輸入物価の上昇を通じて国内物価に波及することから、プラス幅が徐々に拡大することが予想される。

(2013年06月28日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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