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- 順張りと逆張り、どっちが有利?
運用でマーケット平均を上回ろうとした場合、大きく2つの投資スタイルがあると考えられる。一つは「順張り」で、マーケットが上昇(下落)したら更に上昇(下落)すると予測し、今後も同じ方向(上昇(下落)する方)に動くことに賭ける方法である。これは、将来の相場は過去の相場を繰り返すという前提に基づき、相場の流れ(方向性)が変わるまで同じ証券を持ち続ける。長期間に渡り相場が上昇(下落)し続けるなど、いわゆる相場の流れがしっかりとしているときに有効である。
もう一つは「逆張り」で、マーケットが上昇(下落)したら次は下落(上昇)すると予測し、今後は逆の方向(下落(上昇)する方)に動くことに賭ける方法である。これは、マーケットはある一定の水準に戻るという前提を置き、相場が変動するのは一時的なブレだと考える。そのため、相場が上昇(下落)したら次は元の水準に戻る可能性が高いために下落(上昇)すると考え、直近の相場とは逆の方向に動くことに賭けるのである。短期間で相場の流れがころころと変わる、いわゆるもみ合いの相場で有効である。
どちらも運用方針を決定する際の重要な判断要素となっているが、全く逆の行動をとることになる。そのため、どちらに重点を置くかは非常に重要である。一般的に順張りの方が有利と言われているが、実際はどうなっているのかをシミュレーション(図表1)してみた。
国内株式マーケットにおいて1992年4月から2012年3月までの20年間、月次サイクルで投資判断を検討し、売買を繰り返すシミュレーションを実施した。その結果、順張りでは+24.2%、逆張りでは-16.6%となった。やはり順張りの方が有利のようである。ただし、シミュレーション期間を区切って年度別にみると逆張りの方が有利だった年度もあるため、常に順張りの方が有利だったという訳ではなく注意が必要である。一方で、売買サイクルを短くし、週次で売買を繰り返す同様のシミュレーションを実施してみた。すると、順張りでは-60.6%、逆張りでは+72.4%となり、月次とは逆の結果になった。月次では順張りが有利であったが、週次では逆張りの方が有利となった。
このように、順張りと逆張りのどちらが有効であるかは、その運用期間や売買サイクル、投資対象物など、様々な要素によって変わる。将来のマーケットが過去を繰り返すとも限らない。運用方針を決定する際は、マーケットの特性や運用期間などを十分に分析しながら、検討する必要がある。
(2013年01月18日「研究員の眼」)
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千田 英明
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