2012年06月29日

鉱工業生産12年5月~4-6月期は4四半期ぶりの減産へ

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・輸送機械の生産が急減
・4-6月期の減産は確実に

■introduction

経済産業省が6月29日に公表した鉱工業指数によると、12年5月の鉱工業生産指数は前月比▲3.1%と2ヵ月連続の低下となり、事前の市場予想(QUICK集計:前月比▲2.8%、当社予想は同▲4.0%)を若干下回った。出荷指数は前月比▲1.5%と4ヵ月ぶりの低下、在庫指数は前月比▲0.6%と3ヵ月ぶりの低下となった。
エコカー補助金再開に伴う国内販売の好調などを受けて、高い伸びを続けてきた輸送機械が前月比▲11.1%と急速に落ち込んだことが生産全体を2%以上押し下げた。速報段階で公表される16業種中、12業種が前月比で低下、4業種が上昇した。5月は大幅な減産となったが、GWの関係で季節調整に歪みが生じていることにより、実勢よりも伸びが低めに出ている可能性がある。5月の結果を過度に悲観する必要はないだろう。
製造工業生産予測指数は、12年6月が前月比2.7%、7月が同2.4%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(5月)、予測修正率(6月)はそれぞれ▲1.7%、▲1.4%となり、生産計画を下方修正する動きが続いている。
6月の生産計画は比較的高い伸びとなっているが、5月の落ち込み分を取り戻していないこと、前年同月比では▲2.5%のマイナスとなっていることを考えれば、決して強い計画とは言えない。業種別には、5月に大幅減産となった輸送機械は6月が前月比▲3.2%、7月が同1.4%と一進一退の動きにとどまっており、輸送機械が生産の牽引役の座を降りつつあることを示している。輸送機械の生産計画は、エコカー補助金終了後を見越したものと考えられるが、反動減による販売の落ち込みが想定を上回ることにより、さらなる減産を余儀なくされるリスクがあるだろう。
12年5月の生産指数を6月の予測指数で先延ばしすると、12年4-6月期は前期比▲1.1%の低下となり、鉱工業生産が4四半期ぶりの減産となることは確実となった。
現時点の7月の生産計画(5月の生産指数を6月、7月の予測指数で先延ばし)は4-6月期の平均(見込値)よりも3%程度高くなっており、7-9月期の生産は再び増加に転じることが予想される。ただし、生産計画の下方修正が続いていることに加え、輸送機械の生産計画が下振れするリスクがあるため、実際の生産指数の伸びは予測指数よりも低いものとなる可能性が高いだろう。

(2012年06月29日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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