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2011年10月28日
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- 欧州危機の混迷を受けて新興国経済にも暗雲が立ち込めてきた。今回の危機はリーマンショックへの対応で積極化した財政の収支悪化が遠因となっていることから、世界金融危機の「第二波」と考えることができるだろう。
- 前回の「第一波」では、信用収縮の悪循環に陥るまで、米国経済が失速しても新興国経済は高成長を維持するという「ディカップリング」の期待があった。見方が甘かったともいえるが、新興国には巨大なインフラ需要が潜在、ショック後も欧米に先駆けて回復したことを考えれば、過度な信用収縮が回避できていれば、「ディカップリング」は成功した可能性もある。
- 「第一波」と「第二波」を比較すると、「過剰債務=過剰消費」というバブル的消費需要が発生しそれが崩壊したこと、その崩壊過程で発生した信用不安の解消に手間取り、問題が深刻化してきたことが共通している。「第一波」ではリーマンショックを契機に信用収縮に至ったが、今回はその失敗経験も生かせることから、国際的信用収縮を回避できる可能性がある。
- 今後のシナリオとしては、前回と同様に国際的信用収縮⇒世界貿易の急減⇒新興国経済の失速という悲観シナリオが考えられる。この場合は世界経済との連動性が強いロシアとブラジルは欧米と共に失速、中国とインドへの影響は限定的と考えられる。また、国際金融を牛耳ってきた欧米金融機関の体力が低下している中で、国際的信用収縮を回避するためには、日本などその他の国の金融機関の活躍が欠かせないだろう。

(2011年10月28日「Weekly エコノミスト・レター」)
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