2010年05月28日

消費者物価(全国10年4月)~高校授業料の無償化はコアCPIを▲0.54ポイント押し下げ

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・高校授業料無償化でコアCPIは▲0.54ポイント押し下げ
・物価下落品目数は2ヵ月連続で増加

■introduction

総務省が5月28日に公表した消費者物価指数によると、4月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲1.5%となり、下落率は前月から0.3ポイント拡大した。事前の市場予想(ロイター集計:▲1.4%、当社予想も▲1.4%)を下回る結果であった。
食料(酒類除く)及びエネルギーを除く総合は前年比▲1.6%(3月:同▲1.1%)、総合は前年比▲1.2%(3月:同▲1.1%)となった。
高校授業料の無償化によりコアCPIは▲0.54ポイント押し下げられたが(内訳は公立高校が▲0.41、私立高校が▲0.13)、エネルギー価格の上昇、家具・家事用品(3月:前年比▲5.3%→4月:同▲4.8%)、教養娯楽(3月:前年比▲2.7%→4月:同▲1.8%)の下落幅縮小などがその影響を一部打ち消したため、コアCPI全体の下落率は▲0.3ポイントの拡大にとどまった。
3月に1年4ヵ月ぶりに上昇に転じたエネルギー価格は、電気代(3月:前年比▲9.0%→4月:同▲9.4%)、ガス代(3月:前年比▲5.3%→4月:同▲5.4%)は下落幅が若干拡大したものの、ガソリン(3月:前年比16.4%→4月:同17.0%)、灯油(3月:前年比14.6%→4月:同19.2%)の上昇幅が拡大したことから、前年比0.6%(3月:同0.1%)と2ヵ月連続で上昇した。
食料品(生鮮食品を除く)は前年比▲1.6%(3月:同▲1.8%)と9ヵ月連続で下落したが、下落幅は前月よりも縮小した。
コアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が0.05%(3月は0.01%)、食料品(生鮮食品を除く)が▲0.38%(3月は▲0.43%)、高校授業料が▲0.51%(無償化以外の要因も含む)、その他が▲0.64%(3月は▲0.78%)であった。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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