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- 貿易統計08年10月~海外経済減速の影響で輸出が大幅減少
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■見出し
・貿易収支(季節調整値)は3ヵ月連続の赤字
・輸出の減少ペースはさらに加速する可能性
■introduction
財務省が11月20日に公表した貿易統計によると、10月の貿易収支は▲639億円の赤字となり、市場予想(ロイター集計:800億円、当社予想は2,840億円)を下回った。原油価格下落に伴い輸入価格の上昇率が急低下したため、輸入の伸びは大きく鈍化したが、海外経済減速の影響で輸出が大幅に減少したことが響いて、9月の黒字から再び赤字に転落した。季節調整済の貿易収支は▲1,756億円と3ヵ月連続の赤字となった。
円高の進展に伴い輸出価格が前年比▲1.7%(9月:同1.7%)とマイナスに転じたことに加え、海外経済の悪化を反映し、輸出数量が前年比▲6.1%(9月:同▲0.2%)とマイナス幅を大きく拡大させたため、輸出金額は前年比▲7.7%(9月:同1.5%)の大幅減少となった。
原油価格の下落に伴い輸入価格は前年比10.1%(9月:同21.3%)と伸びが急速に低下し、内需低迷を反映し輸入数量が前年比▲2.4%(9月:同6.2%)と2ヵ月ぶりの減少となったため、輸入金額は前年比7.4%(9月:同28.8%)と伸びが大きく鈍化した。
通関(入着)ベースの原油価格は8月の1バレル=130ドル台前半から10月には100ドル台へと大幅に低下したが、WTI先物の価格に比べると高止まりしている。これは、通関(入着)ベースの原油価格はWTIに遅れて動く傾向があるためであるが、WTIは足もとでは50ドル台まで下落しているため、入着ベースの原油価格も下落が続き、輸入価格の上昇率は一段と低下することが見込まれる。
このため、現時点では貿易収支の赤字が定着するとは見ていない。ただし、輸出の減少ペースは今後加速する可能性が高いため、輸出入ともに減少する形で、貿易収支は低水準で推移することが予想される。
なお、貿易指数(金額指数、価格指数、数量指数)は今回(10月速報分)から基準年が2000年から2005年に変更された。
輸出数量指数の伸びを新旧指数で比較すると、07年後半から08年初めにかけては伸び率が下方改定される一方、08年3月以降は伸び率が上方改定された。
(2008年11月20日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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