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1.
昨今の様々な構造改革の中で、国民の「自己責任」が掲げられている。個人が「自己責任」で生活することは、消費者として成熟することである。
2.
「成熟化」という言葉は、社会経済の様々な場面で用いられているが、「消費者の成熟化」は、「市場の成熟化」と対として考えるべきである。慶応大学の池尾は、「市場が成熟化すると、反復購入者が増加し、その結果、消費の対象に対しての関心が低まり、また購買時の判断力が増す。つまり、成熟した消費者は、関心が低く判断力が高い。」というように、市場の成熟化と消費者の成熟化を関連づけている。
3.
しかし、金融商品が購買対象の場合、反復購入者が増えても関心は低下しないと考えられ、成熟化した消費者は、むしろ「関心が高く判断力が高い」といえる。
4.
「日経NEEDS-RADAR 金融行動調査」の結果を用いて、「関心が高く判断力が高い」層を抽出した結果、高学歴の中高年が多いこの層は、全体の2割に過ぎないが、金融資産総額の約5割を保有し、将来は、リスク性商品の7割を保有する見込みであることがわかった。また、「関心が高く判断力が低い層」は、年齢が高まり所得が上昇するに連れ、判断力が高まることが明らかになった。さらに、高齢層の中には、金融資産の保有が多くても「関心が低い」層が存在することも明らかになった。
5.
今後、様々な領域で、個人にとってのリスクが増すと思われるが、金融分野においては、本稿で示したような「成熟化」の度合いを踏まえた消費者教育やコミュニケーションといった消費者―金融機関の関係性構築が望まれる。
(2001年03月25日「ニッセイ基礎研所報」)
栗林 敦子
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