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■要旨
30~50歳代の会社員(厚生年金加入者)を対象に、老後の準備ができない要因について、独自のアンケート調査の結果を利用して検証した。老後の準備ができないことを示す変数としては、毎月の支出額のうちの「貯蓄額」を利用した。毎月の貯蓄額がゼロの者を準備ができない「準備なし」群、貯蓄額が少しでもある者を準備ができている「準備あり」群とし、両者で老後の準備ができない要因について差があるかを比較した。分析の対象とした要因は、過去の研究の研究蓄積を参考にして、流動性制約、逆選択、時間選好率、知識不足、複利効果認識不足である。また、年収の多寡により、老後の準備ができない要因に違いがある可能性があるため、低年収グループと高年収グループの2つのグループにわけて分析を行った。
その結果、低年収グループにおいては、老後の準備が進まない理由として、年収に占める生活費支出の割合の比率が高く、貯蓄にまわすお金の余裕がないという流動性制約がうかがえる。また、時間選好率が高く貯蓄が苦手で、現在の生活の満足度を高めたいことや、老後の準備をどのように行ったらよいか、どのような金融商品を利用すれば良いかなどの金融・経済の知識が不足していることが老後の準備が進まないことに関連していた。
高年収グループにおいては、老後の準備が進まない理由として、現在の生活を満足させたい傾向が高く、収入と比較して多額の住宅ローン返済、高い教育費、高い生活費により、貯蓄するお金が残らないことが要因だと考えられる。また、非常に長生きする確率を過小評価している傾向があった。
(2014年12月03日「基礎研レポート」)
北村 智紀
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