2014年03月03日

法人企業統計13年10-12月期~力強さに欠ける設備投資

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・2四半期連続の増収増益
・力強さに欠ける設備投
・10-12月期・GDP2次速報は1次速報とほぼ変わらず

■要旨

財務省が3月3日に公表した法人企業統計によると、13年10-12月期の全産業(金融業、保険業を除く、以下同じ)の経常利益は前年比26.6%(7-9月期:同24.1%)と8四半期連続の増加となった。利益率の改善が続く中、売上高が前年比3.8%(7-9月期:同0.8%)と前期から伸びを高め、2四半期連続の増収増益となった。経常利益は、製造業が前年比49.9%(7-9月期:同46.9%)、非製造業が前年比14.4%(7-9月期:同14.5%)となり、ともに3四半期続けて前年比で二桁の高い伸びとなった。
季節調整済の経常利益(16.0兆円)はこれまで過去最高だった07年1-3月期の15.6兆円を上回った。製造業(6.4兆円)はリーマン・ショック前のピーク時(07年4-6月期の6.8兆円)を若干下回っているが、今回の景気回復が個人消費を中心とした国内需要が牽引役となっていることを反映し、非製造業(9.6兆円)は13年4-6月期にリーマン・ショック前のピークを上回った後、過去最高水準を更新し続けている。

設備投資(ソフトウェアを含む)は前年比4.0%となり、7-9月期の同1.5%から伸びを高めた。製造業が前年比0.7%(7-9月期:同▲6.7%)と5四半期ぶりの増加、非製造業が前年比5.7%(7-9月期:同6.6%)と3四半期連続の増加となった。一方、季節調整済の設備投資(ソフトウェアを除く)は前期比▲0.3%(7-9月期:同▲0.2%)と2四半期連続の減少となった。非製造業が前期比▲0.4%(7-9月期:同▲0.1%)と2四半期連続の減少、製造業は前期比+0.0%(7-9月期:同▲0.4%)と7四半期ぶりの増加となったが、極めて低い伸びにとどまった。
企業収益が急回復を続けているにもかかわらず、設備投資は依然として力強さに欠けるものとなっている。足もとの設備投資の水準は減価償却費を若干上回っているものの、キャッシュフローを大きく下回っており、企業の設備投資意欲の弱さを示している。設備投資の先行指標である機械受注統計の動きなどから考えれば、14年1-3月期は設備投資の回復ペースが高まることが予想されるが、企業の中長期的な成長期待が高まることによって設備投資の回復が本格化するまでには時間を要するだろう。

本日の法人企業統計の結果等を受けて、3/10公表予定の13年10-12月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.2%(前期比年率0.9%)になると予測する(1次速報:前期比0.3%、前期比年率1.0%)。設備投資は前期比1.3%から同0.9%へと下方修正されるが、民間在庫が1次速報の前期比・寄与度▲0.0%から同0.0%へと若干上方修正されるだろう。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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