2014年07月30日

人手不足経済への処方箋

経済研究部 経済調査室長   斎藤 太郎

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■要旨

高齢化、人口減少によって労働供給力が趨勢的に低下する中、景気回復に伴う労働需要の拡大という循環的な要因が加わったため、企業の人手不足感が急速に高まっている。

政府は成長戦略において、女性、高齢者の活躍推進を重点課題とし、2020年までの就業率目標を掲げている。女性の非労働力人口の中には、就業を希望しているにもかかわらず、家事、出産・育児などのために職探しをあきらめている人、すなわち潜在的な労働力が多い。就業を希望していながら非労働力化している女性が全て職に就けたとすると、女性の就業率は政府目標を大きく上回り、2020年までの就業者全体の減少も食い止めることができる。

政府の成長戦略では64歳までの高齢者の就業率目標が設定されているが、2030年までを考えれば65歳以上の就業率を大きく引き上げることが不可欠だ。長寿化が進んだため、1970年頃には10年程度だった平均的な退職年齢時点の平均余命は、最近は20年近くまで延びている。このことを考えれば、70歳まで働くことが一般的となることは決して非現実的ではない。

高齢者がより長く働くようになる一方、学校卒業と同時に仕事に就いたら定年まで働き続けるという画一的な働き方を改め、30歳~50歳代の男性は仕事以外のことにもっと時間を費やすようになってもよいだろう。このことは、男女間、年齢間のワークシェアリングにもつながる。これまでのように「太く短く」働くのではなく、「細く長く」働くことを前提とした社会システムの構築を目指すべきだ。


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経済研究部   経済調査室長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

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