2012年10月31日

一戸建注文住宅取得層の若年化傾向を読み取る-2000年代における一戸建注文住宅の動向

社会研究部 准主任研究員   塩澤 誠一郎

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2000年代における一戸建注文住宅の顧客動向をみると、顧客の低年齢化が特徴として挙げられる。その背景には、初めて住宅を取得する層(一次取得層)が一戸建注文住宅を選択するケースの増加がある。

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一次取得層の動向をみると、世帯年収が伸び悩むなかでの建築費の上昇に伴う取得費の負担増に直面しつつも、延べ床面積を縮小することで調整する姿が浮かび上がる。
ただし、建築費がそれを上回る水準で上昇してきた現実があり、これに対しては、借入と贈与の大幅な増加で対応している。一次取得層の一戸建注文住宅の取得を支えているのは、借入であり贈与であるが、とりわけ贈与の寄与が大きいことが特徴となっている。

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一次取得層の増加要因に、団塊ジュニア世代の動向が挙げられる。2000年代に住宅取得時期を迎えた団塊ジュニア世代は、子育てに積極的にかかわる意識や家族との時間を大切にする志向が高く、こうした意識が住まいに対するこだわりにつながり、一戸建注文住宅を選択させたようだ。
加えて、住宅金融公庫廃止後の民間金融機関による多様な住宅ローン商品の供給が、低金利情勢下と相まって借入しやすい状況を生み、さらに住宅ローン減税、贈与税の特例といった税制が、取得を後押ししたと言える。

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現状の人口構成や将来人口の動向を捉えると、今後はこれまでのような一次取得層の数量的な増加は見込めないであろう。しかし現状において全体の40~50%を占める一次取得層が住宅選択場面で残したトレンドは、団塊ジュニア世代の影響一巡後も尾を引くものと考えられる。なぜなら、今後も一次取得層の主役は若い世代であり、その総数が減少しても、子育てのための住まいづくりへの関心が薄まることはないと考えるからである。また、一層進行する少子高齢社会において、次世代育成の観点から住まいの重要性が今以上に社会的に高まっていくことも想定される。
したがって、団塊ジュニア世代が押し上げた一次取得層における住まいや住環境への意識の高まりを捉えて、若い世代が良質な一戸建注文住宅を取得できるよう、引き続き融資や税制に係る政策面からの支援が重要になる。さらに、延べ床面積をこれ以上縮小せずに取得できる環境を整えることにも目を配る必要があるが、これには一戸建注文住宅業界の努力に負う部分も大きい。

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社会研究部   准主任研究員

塩澤 誠一郎 (しおざわ せいいちろう)

研究・専門分野
都市・地域計画、土地・住宅政策、文化施設開発

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